経済用語辞典
毎朝の経済ニュースで取り上げた「今日の経済用語」を集めて、毎日少しずつ増えていく用語辞典です。すべての用語に、実際に相場を動かした日の記事リンク付き。教科書ではなく「生きた相場」で覚えられます(現在119語)。
おはようございます、お金バイバイマンです。ニュースに出てくる経済用語は、意味だけ暗記してもなかなか頭に残りません。このページの各用語には「その用語が実際に相場を動かした日の記事」へのリンクを付けています。気になる用語があったら、ぜひ記事のほうも読んでみてください。リアルな値動きと一緒に覚えるのがいちばん早いです。
経済指標(アメリカ・日本)
CPI(消費者物価指数)
私たちが日々買うモノ・サービスの値段の変化を、まとめて指数にした経済指標です。インフレ(物価上昇)を測る代表的なものさしで、中央銀行が金利を決めるときの最重要データの一つです。
コアCPI
消費者物価指数(CPI)から値動きの激しい品目を除いて、物価の「基調」を見る指標です。米国のコアは食品とエネルギーを除き、日本のコアは生鮮食品を除くなど、国によって中身が違う点に注意が必要です。
コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)
消費者物価指数(CPI)から生鮮食品とエネルギーの両方を除いて計算した指標です。野菜は天候、ガソリンや電気代は燃料価格で大きく上下するため、その振れの大きいものを取り除くと物価の「基調」が見えやすくなります。日銀が金融政策を考えるときに確かめる数字のひとつです。
東京都区部CPI
総務省が東京23区を対象に毎月公表する物価指数です。その月の分が月末に速報として出るため、翌月に出る全国CPIより約1か月早く物価の方向が分かる先行指標として注目されます。
PCE(個人消費支出物価指数)
米国の個人消費支出にもとづく物価指数で、FRBがインフレ判断の最重要指標とするデータです。CPIと並ぶ物価指標ですが対象範囲や計算方法が異なり、米商務省BEAが毎月発表します。
コアPCE
米国の個人消費支出にもとづく物価指数(PCE)から、価格変動の大きい食品とエネルギーを除いた指標です。FRBがインフレの基調を判断する際に最も重視するデータとされ、米商務省(BEA)が毎月発表します。
PPI(生産者物価指数)
米労働統計局(BLS)が毎月発表する物価指標で、企業が出荷・卸売段階で取引する財・サービスの価格動向を表します。消費者物価(CPI)が「川下」ならPPIは「川上」で、企業のコスト変化をいち早く映すインフレの先行指標です。
価格転嫁(かかくてんか/Price Pass-Through)
企業が原材料費や仕入れ値などのコスト上昇分を、商品やサービスの販売価格に上乗せすることです。これが進むと、企業どうしがやり取りする物価(PPI)の上昇が、私たちが実際に買うモノやサービスの物価(CPI)へと、川上から川下へ順ぐりに伝わっていきます。
GDP(国内総生産)
一定期間に国内で新しく生み出された付加価値の合計で、その国の経済の規模を測る最も基本的な統計です。前の期と比べて伸びていれば景気拡大、縮んでいれば景気後退のサインになります。
GDPデフレーター
名目GDPを実質GDPで割って求める「国全体の値段の物差し」です。名目は値段がついたままの合計、実質は物価の動きを取り除いた合計なので、両者の開きが値段の動いた分になります。家計が買うものを測るCPIとは対象がちがい、輸入は差し引かれる側に回ります。
年率換算(ねんりつかんさん)
3カ月ぶんの伸びを「このペースが1年続いたらどうなるか」に引き伸ばした数字です。アメリカのGDPはこの形で発表されるため、「前期比年率プラス1.5%」はその3カ月で1.5%増えたという意味ではありません(実際の3カ月ぶんの伸びは約0.37%)。計算は3カ月ぶんの伸びを4乗する複利で、単純に4倍するのではない点も押さえておきたいところです。
雇用統計(NFP)
アメリカの雇用の状況を毎月まとめた、世界で最も注目される経済指標です(原則毎月第1金曜に発表)。有名なのが、農業以外で働く人の増減を示す「非農業部門雇用者数(NFP)」です。
事業所調査と家計調査(Establishment Survey/Household Survey)
米雇用統計は、ひとつの調査ではありません。会社に聞く「事業所調査」と、世帯に聞く「家計調査」という性格の違う2つの調査を、同じ日に並べて出したものです。「非農業部門雇用者数が◯万人増」は事業所調査から、「失業率◯%」は家計調査から出ます。聞く相手も数えているものも違うので、雇用者数が伸びた月に失業率が動かないことは普通に起こります。あとから上下に修正されるのは、おもに事業所調査のほうです。
改定値(かいていち/Revision)
いちど発表された統計の数字が、あとから調べ直されて書き換えられたものです。速報は締め切りまでに集まった回答だけで計算するので、あとから回答が届くと数字が動きます。上にも下にも動き、米雇用統計では2026年4月分が+11.5万人から+14.8万人へ、5月分は+17.2万人から+12.9万人へ直されました。さらに年に一度のベンチマーク改定では、2025年12月時点の雇用者数がおよそ109万人ぶん少なく書き換わっています。
基準改定(きじゅんかいてい)
物価や生産の統計で、「100」と決める基準の年を新しい年に入れ替える作業です。消費者物価指数(CPI)では5年に一度おこなわれ、2026年は2020年基準から2025年基準へ切り替わりました。基準の年を移すのと同時に、対象になる品目と、家計が何にいくら使っているかの重みづけ(ウエイト)も入れ替わります。速報をあとから直す「改定値」とは別物で、こちらはものさしそのものを取り替える話です。
季節調整(きせつちょうせい)
夏にエアコンが売れる、年末年始に旅行が増えるといった、毎年きまって同じ時期に起きる動きを、統計からあらかじめ取り除く処理のことです。前年同月比は1年前の同じ月と比べるので季節の影響が自然に打ち消されますが、前月比は季節調整をしないと意味が読めません。物価や雇用の「前月比」は、この処理をしたあとの数字です。
JOLTS(求人・労働異動調査)
「Job Openings and Labor Turnover Survey」の略で、米労働省が毎月公表する求人・労働異動調査です。求人件数や自己都合の離職者数まで分かり、労働市場の「需要」側を映します。
ISM景況指数
米供給管理協会(ISM)が企業の購買担当者へのアンケートをもとに毎月公表する景況感の指標です。製造業版と非製造業(サービス業)版の2種類があり、50を上回れば景気拡大・下回れば縮小の目安とされます。
ISM非製造業景況指数
米供給管理協会(ISM)が毎月発表する、サービス業の景況感を示す指数です。50を上回れば景気拡大・下回れば縮小の目安で、サービス業が主役の米国経済の体温計として注目されます。
消費者信頼感指数(CCI)
米国の民間調査機関コンファレンスボードが毎月公表する、消費者の景況感を数値化した指標です。消費者の「気分」は買い物に直結するため、個人消費が主役の米国経済の先行きを占う材料になります。
コア小売売上高
米国で毎月発表される小売売上高のうち、自動車・ガソリン・建材・外食などブレ幅の大きい項目を除いた部分です。個人消費の基調が見えやすく、GDPの個人消費の推計にも使われます。
ソフトデータとハードデータ
ハードデータは、実際に起きたことを数えた数字です(小売売上高、雇用統計、鉱工業生産など)。ソフトデータは、人にアンケートで聞いた答えを指数にした数字で、ミシガン大学の消費者態度指数やISMの景況指数がこれにあたります。ソフトは聞いてすぐ出せるので速い代わりにあくまで気分、ハードは確かですがその月が終わるまで出ません。だからふだんは食い違い、2つが同じ向きにそろった日ほど重く受け取られます。2026年8月14日の夜は、アメリカの7月の小売売上高が前月比−0.6%、ミシガン大の8月速報が51.0と、そろって弱く出た日でした。
実質賃金(じっしつちんぎん/Real Wages)
受け取った給料(名目賃金)から物価の上昇分を差し引いて、お金の「実際の購買力」がどれだけあるかを示した賃金です。額面が増えても、それ以上に物価が上がっていれば実質賃金はマイナスになり、生活は楽になりません。
日銀短観(にちぎんたんかん/全国企業短期経済観測調査)
日本銀行が全国の約1万社に景気の見方を直接たずねる調査で、年4回(4月・7月・10月・12月)発表されます。代表的な「大企業・製造業の業況判断DI」がプラスなら強気の企業が多く、日銀が金融政策を判断するうえで重視します。
ADP雇用統計(ADP全米雇用報告)
給与計算サービス大手ADP社が、自社で扱う膨大な給与データをもとに集計する“民間版の雇用統計”です。公式の雇用統計(NFP)の2日前ごろに発表されるため「雇用統計の前哨戦」と呼ばれますが、公式と結果がズレることも多く、先行材料として雰囲気をつかむ使い方が基本です。
平均時給(Average Hourly Earnings)
米雇用統計と同時に発表される、働く人の1時間あたり賃金の平均です。賃金の伸びは物価に波及しやすいため、FRBが「賃金インフレの体温計」として重視しており、NFP・失業率とあわせた3点セットで読むのが基本です。
労働参加率(Labor Force Participation Rate)
働ける年齢の人口のうち、実際に働いているか職を探している人(労働力人口)の割合です。求職を諦めた人が増えると失業率が「見かけ上」下がることがあり、失業率の低下が良いニュースかどうかを見抜くカギになります。
新規失業保険申請件数(しんきしつぎょうほけんしんせいけんすう)
アメリカで、その週に新しく失業給付を申し込んだ人の数です。米労働省が毎週木曜日の米東部時間 午前8時30分(夏時間の日本時間で21時30分)に発表します。仕事を失った人が給付を受けるにはまず申請が要るので、この件数は「今週、新しく職を失った人がどれくらい出たか」の目安になります。月に1回の雇用統計に対してこちらは週に1回で、雇用の変化がいちばん早く数字に出てくる場所として見られています。ただし週ごとの上下が大きいので、いっしょに公表される4週間の移動平均とセットで読むのが決まりごとです。
金融政策・中央銀行
ターミナルレート
中央銀行の利上げ・利下げサイクルにおける最終到達点となる政策金利水準のことです。利上げ局面では「これ以上は上げない上限」を意味し、市場はドットチャートや金利先物からその水準を推測します。
タカ派・ハト派
「タカ派」は物価上昇(インフレ)抑制を優先し利上げ・引き締めに積極的な立場、「ハト派」は景気・雇用を優先し利上げに慎重・利下げに前向きな立場です。中央銀行がどちら寄りかで相場は大きく動きます。
ドットチャート
米FOMC(連邦公開市場委員会)の参加者19名がそれぞれ予想する将来の政策金利水準を、点(ドット)で示した図です。年4回(3月・6月・9月・12月)のFOMCで公表され、委員会全体の金利観がひと目で分かります。
FedWatch(フェドウォッチ)
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が公表している、次のFOMCで政策金利がどうなるかの確率を示したツールです。アンケートではなく、実際に売買されているFF金利先物の値段から逆算しているため、経済指標の発表直後に数分で動きます。「9月の会合1回ぶん」と「9月までに1回以上」は別の数字で、金利スワップや予測市場の似た確率とも水準がずれるので、出どころを混ぜないことが大事です。
FOMC議事要旨
米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)での議論の要点をまとめた公式文書です。会合の約3週間後に公表され、声明文では分からない「委員の意見の分布」が読み取れます。
反対票(はんたいひょう)
中央銀行が金利を決める会合で、多数意見に賛成せず反対の票を投じることです。英語では「ディセント」と呼びます。FOMCの声明文には反対した人の名前と「どうすべきだと主張したか」まで書かれるため、「据え置き」という結論の裏に別の意見がいくつ記録されているかが分かります。日本銀行も9人の政策委員会の多数決で決め、賛成・反対の内訳が公表されます。
ベージュブック(Beige Book)
FRB(米連邦準備制度)が年8回公表する「地区連銀経済報告」です。全米12地区連銀が管轄地域の景気を企業ヒアリングなどの“現場の声”でまとめた定性的な報告で、FOMC会合の約2週間前に公表され政策判断の基礎資料になります。表紙がベージュ色なのが名前の由来です。
FOMCブラックアウト期間
FOMC会合の前後に、FRB高官が金融政策に関する発言を自主的に控える期間のことです。高官発言のヒントが出ないため、市場は経済指標や観測報道に敏感になりやすくなります。
ビハインド・ザ・カーブ
中央銀行の政策対応が物価や景気の変化に対して「後手に回っている」状態を指す金融の言葉です。後手に回るほど、あとからより急で大きな政策変更が必要になり、市場が荒れる原因になります。
政策金利(無担保コールレート翌日物)
中央銀行が金融政策の目標として誘導する短期金利です(日銀は無担保コールレート翌日物)。上げれば景気を冷やし、下げれば温める、経済全体の“温度調整つまみ”のような役割です。
FF金利(フェデラル・ファンド金利)
アメリカの中央銀行FRBが会合(FOMC)で決める「政策金利」です。米国の銀行同士が翌日返す短期資金をやり取りする金利で、日米の金利差を通じて円安・ドル高にもつながる、世界の金利の出発点になる数字です。
フォワードガイダンス(Forward Guidance)
中央銀行が将来の金融政策の方針(金利をいつ・どの方向に動かすつもりか)を、あらかじめ言葉で市場に示すことです。先の見通しを共有して金利や為替の急変を抑える狙いがありますが、「約束」に縛られて機動的に動きにくくなる面もあります。
リアクション関数(反応関数/Reaction Function)
中央銀行の人が「もしデータがこうなったら、私はこう主張する」と示す条件のことです。大事なのは約束ではないという点で、条件が満たされなければ結論も変わります。金利の道筋そのものを予告するフォワードガイダンスとは別ものです。ニュースの見出しは結論だけを運ぶので、原文にある「もし」が落ちがちなところに注意が要ります。
ジャクソンホール会議(ジャクソンホールかいぎ)
アメリカのワイオミング州ジャクソンホールで、毎年8月下旬に開かれる経済政策のシンポジウムです。主催はカンザスシティ連邦準備銀行で、世界の中央銀行の関係者や経済学者が集まって議論します。ここで政策金利が決まるわけではありません。決めるのはFOMCのほうで、こちらは議論と講演の場です。それでも市場が身構えるのは、FRB議長の基調講演で、これからの金融政策の考え方が語られることがあるから。なお、講演の開始時刻は主催者が直前まで公表しない年がほとんどです。
展望レポート(経済・物価情勢の展望)
日銀が1月・4月・7月・10月の年4回だけ公表する、景気と物価の見通しをまとめた資料です。政策委員9人が示す実質GDP成長率と消費者物価の予想が並び、金利を動かすかどうか以上に相場が反応することもあります。
中立金利(ちゅうりつきんり/Neutral Rate)
景気を熱しも冷ましもしない「ちょうど中立」の金利水準です(自然利子率・R-starとも)。政策金利がこれより高ければ「引き締め(ブレーキ)」、低ければ「緩和(アクセル)」の状態と読めます。目に見えない推計値なので中央銀行の委員でも見方が割れ、「今の金利は十分に引き締め的か」という議論のカギになります。
長期金利(ちょうききんり)
お金を1年より長く(一般に10年)貸し借りするときの金利で、「10年国債の利回り」が代表です。中央銀行が決める政策金利(短期)と違い、市場で日々売買されて決まります。景気・物価・国の借金の見通しで動き、住宅ローンの固定金利などにつながります。2026年7月上旬、日本の長期金利が一時 約2.900%(終値2.875%)=約30年ぶりの高水準をつけました。
イールドカーブ(利回り曲線/Yield Curve)
同じ国の国債を1年もの・2年もの・10年もの・30年ものと期間の短い順に並べて、利回りを線でつないだグラフのことです。ニュースの「長期金利」は、この線の上の10年という1点だけを指しています。長く貸すほど上乗せが要るので右上がりがふつうの形で、線全体が持ち上がったのか10年だけ跳ねたのかで、市場が何を心配しているかが変わります。
バイバック(国債の買い戻し)
政府(アメリカでは財務省)が、すでに発行して市場に出回っている自分の国債を、満期を待たずに買い取ることです。ねらいは借金を減らすことではなく、古くなって売り買いしにくくなった銘柄を引き取り、市場を回りやすくしておくこと。買い手がひとり増えるので債券の値段は上がり、その裏返しで利回り(金利)は下がる方向に働きます。
実質金利(じっしつきんり/Real Interest Rate)
見かけの金利(名目金利)から物価の上昇分(インフレ率)を差し引いた「実際の金利」です。金利が2%でも物価が4%上がっていれば実質はマイナス2%となり、お金の“買う力”はむしろ目減りするため、金利は物価とセットで見てはじめて意味がわかります。
株式市場・取引のことば
値がさ株
株価(1株あたり)が絶対値として高い水準にある銘柄のことです。ただし「株価が高い=割高・優良」ではなく、値段の高さと中身の良し悪しは別の話です。
株価換算係数(かぶかかんさんけいすう)
日経平均を計算するときに、銘柄ごとの株価へ掛ける「倍率」です。日経平均は225銘柄の株価をそのまま足して割った指数ではなく、株価にこの倍率を掛けたものを足して、除数という数で割って求めます。倍率は1が基本ですが、株式分割を重ねてきた銘柄では3や8になることもあります。
NT倍率(NT Ratio)
日経平均株価をTOPIX(東証株価指数)で割って出す、2つの株価指数の“力比べ”を映す指標です。日経平均は値がさ株(半導体・ハイテクなど)の影響が強く、TOPIXは幅広い銘柄を映すため、上がる時は値がさ・輸出株が優位、下がる時は内需・金融など幅広い銘柄が優位と読めます。近年は17倍前後で高止まりしています。
時価総額加重平均型(じかそうがくかじゅうへいきんがた)
株価指数の計算方法のひとつで、会社の規模(時価総額=株価×発行済み株数)が大きい銘柄ほど、指数への影響を大きくするやり方です。TOPIXやS&P500がこの方式で、株価の高さで影響力が決まる日経平均・NYダウの「株価平均型」とは別もの。同じ日の同じ市場でも、指数によって上がり方が変わるのはこのためです。
寄与度(きよど/Contribution to Index)
ひとつの銘柄が、指数全体を何円(何ポイント)押し上げた・押し下げたかを表す数字です。日経平均は株価を足して割る「株価平均型」なので、1株の値段が大きく動いた銘柄ほど効き方が大きくなります(ただし値段が高くなりすぎた銘柄は「株価換算係数」で影響が抑えられます)。だから「上がった銘柄の数」と「指数の上げ幅」はしばしば別のことを語ります。両方を見ておかないと、その日の姿を取り違えやすくなります。
騰落銘柄数(とうらくめいがらすう/Advance-Decline)
その日、値上がりした会社と値下がりした会社が、それぞれ何社あったかを数えたものです。株価指数が「いくら動いたか」を見る道具だとすれば、こちらは「何社が上がって、何社が下がったか」を見る道具。この2つは、ときどき逆を向きます。指数が大きく上がった日なのに、値下がりした会社のほうが多い——そういう日は、一部の大きな銘柄だけで指数が持ち上がったということです。自分の持ち株が下がっていても、読み違えとはかぎりません。
利益確定売り
保有している株などの含み益が乗っているうちに売って、利益を確定させる行為です(英語でProfit Taking)。相場が上がった後に出やすく、一時的な株価の下押し要因になることがあります。
決算サプライズ
企業の決算発表が、市場予想(アナリスト平均)を大きく上回ったり下回ったりする結果のことです。上振れを「ポジティブ・サプライズ」、下振れを「ネガティブ・サプライズ」と呼びます。
ガイダンス(業績見通し)
企業が自社で出す「次の四半期や通期はこれくらいの売上・利益になりそう」という業績見通しのことです。株価は過去の結果(実績)よりも、これからの数字(ガイダンス)に強く反応する傾向があります。
為替感応度(かわせかんのうど/FX Sensitivity)
為替が1円動いたときに、その会社の営業利益がどれだけ増えたり減ったりするかを表した数字です。輸出が中心の企業は代金を外貨で受け取るので、円安なら円に直したときの金額がふくらみ、円高なら縮みます。効き方は海外での現地生産の比率や外貨の借り入れによって会社ごとに変わるため、決算資料で「1円の円安につき営業利益◯億円」という形で示されることがあります。
業績相場
個別企業の業績拡大が株価上昇を牽引する相場局面のことです。中央銀行の緩和マネーが相場を押し上げる「金融相場」と対比され、いま相場がどちらのエンジンで動いているかを見分ける手がかりになります。
ストップ高(値幅制限)
取引所が定める1日の値上がり幅の上限まで株価が達し、それ以上つかない状態のこと(逆は「ストップ安」)。ただしストップ高=必ず買えるわけではなく、売り手が出ず取引が成立しないこともあります。
ストップ安
1日のうちに株価が下がれる値幅の下限まで下がりきった状態です。日本の株式市場では株価水準ごとに「1日に動ける値幅(制限値幅)」が決められており、急落に急ブレーキをかける仕組みとして機能します。
窓開け(ギャップアップ/ギャップダウン)
株価チャートで前日終値と当日始値の間に大きな価格差(ギャップ)が生じる現象のことです。高く始まる「ギャップアップ」と低く始まる「ギャップダウン」があり、市場が閉まっている間に大きなニュースが出たときに起こりやすくなります。
SQ(特別清算指数)
日経平均の先物やオプションの期限が来たとき、いくらで決着させるかを決める特別な数字です。毎月第2金曜の朝に、その日の構成銘柄の始値をもとに算出されます。先物とオプションが同時に清算される3・6・9・12月がメジャーSQ、オプションだけの残り8カ月がマイナーSQです。
清算値(せいさんち)
先物の取引所が、その日を代表する1つの値段として計算して公表する値です。取引の終わりごろの決められた時間についた値段をもとに決まり、毎日その日の損得を精算するときの基準になります。清算値が決まったあとも電子取引は続くため、ニュースサイトに出ている「いまの原油」の値段とは一致しないことがよくあります。
限月(げんげつ/Contract Month)
先物の「いつ受け渡すか」を決めた月のことです。「WTI原油10月限」なら10月に受け渡す約束の原油で、同じ原油でも11月限・12月限には別の値段がついています。ニュースが伝える価格は、ふつう期限がいちばん近い限月(期近)のもの。前日と比べるときは限月をそろえないと、別の商品と比べることになります。
高値引け(たかねびけ)
その日の取引の最後につけた値段(終値)が、その日いちばん高い値段と同じになることです。同じ上げ幅でも「一日のどこで買われたか」で相場の見え方が変わるため、引けにかけて買いが途切れなかった一日を表す言葉として使われます。
四本値(よんほんね)
その日の値動きを表す4つの数字、始値・高値・安値・終値のことです。ニュースが「◯円安」と言うときにまず伝わるのは終値なので、途中でどこまで上がって下がったかは残りの3つを見ないと分かりません。高値と安値の差が、その日の激しさです。
陽線・陰線(ようせん・いんせん)
1日の値動きを1本の棒にまとめた「ローソク足」の呼び名です。終値が始値より高ければ陽線、低ければ陰線。くらべているのは前の日ではなくその日の始まりと終わりなので、前日比はプラスなのに陰線、という日がふつうに起こります。
週足(しゅうあし)
1週間ぶんの値動きを、1本のローソク足にまとめたものです。始値は週の最初の取引の寄り付き、終値は週の最後の取引の大引け。高値と安値は、その週のどこかでいちばん高かった値段と、いちばん安かった値段です。1日ごとの上下が消えるので、週として上がったか下がったかだけが残ります。細かい動きは見えなくなりますが、大きな向きが見やすくなります。なお、ヒゲの先を何曜日に付けたかは、週足の形からは分かりません。
サーキットブレーカー(Circuit Breaker)
株価や株価指数・先物が短時間で急激に動いたとき、取引を強制的に一時ストップする制度です。電気の「ブレーカー」と同じ発想で、売りの殺到で価格が壊れるのを防ぎ、投資家が頭を冷やす時間をつくります。ただし取引を止めても下げる理由が消えるわけではなく、再開後にさらに動くこともあります。
ヒストリカル・ハイ(史上最高値)
株価指数や個別銘柄が、上場・公表開始以来で最も高い水準を記録した状態(史上最高値)です。過去に取引された価格帯がない「未知の領域」に入るため、更新した瞬間が天井とは限らない点がポイントです。
自律反発(テクニカルリバウンド)
株価が短期間に大きく下がりすぎた反動で、これといった新しい好材料がなくても買い戻しが入り、いったん値を戻す動きのことです。英語では「テクニカルリバウンド」と呼ばれます。
自社株買い
会社が自分の株式を市場などから買い戻す施策です。発行済みの株数が減るため1株あたりの利益(EPS)が上がり、株価にプラスに働くことが多い代表的な株主還元です。
IPO(新規株式公開)
これまで非公開だった会社の株を、はじめて証券取引所に上場して一般の投資家も買えるようにすることです。会社は大きな資金を調達でき、上場初日は値動きが大きくなりがちです。
アフターマーケット(時間外取引)
株式市場の通常の取引時間の外で行われる売買のことです。米国では決算発表が取引終了後に多く、発表直後の初期反応は時間外に表れますが、参加者が少なく値が飛びやすい点に注意が必要です。
受注残(バックログ)
すでに受注しているものの、まだ売上として計上されていない注文の残高のことです。将来の売上の「予約」にあたるため、受注残が積み上がっている企業は先々の業績の見通しが立てやすいと評価されやすくなります。
設備投資(せつびとうし)
会社が工場・機械・データセンターなど、長く使う設備にお金を使うことです。英語のCapital Expenditureを略して「キャペックス」とも呼びます。同じ「設備投資を増やす」というニュースでも、その設備を作る会社(半導体・製造装置など)には注文が増える追い風、投資する会社自身には目先の大きな支出になる、という二つの顔を持ちます。
セクターローテーション(Sector Rotation)
投資家のお金が、ある業種(セクター)から別の業種へと移っていく動きのことです。景気や金利の局面が変わると相場の主役が入れ替わり、指数がまちまちなときほどこの資金移動に注目すると中身が見えてきます。
シリコンサイクル(Silicon Cycle)
半導体の需要と供給が、おおむね3〜4年の周期で好況と不況を繰り返す波のことです。この循環があるぶん半導体株は値動きが大きくなりやすく、好調なときは大きく上げ、転換点では急に売られやすい性質があります。
SOX指数(ソックスしすう/PHLX Semiconductor Sector Index)
アメリカに上場している主要な半導体関連銘柄をまとめた株価指数で、世界の半導体株がいま元気なのか冷えているのかを測る「体温計」として使われます。日本のアドバンテストや東京エレクトロンはこの指数と連動しやすいため、東京市場が開く前に前の晩のSOXを確認する投資家が多い指数です。
PER(株価収益率/Price Earnings Ratio)
いまの株価が「1株あたりの利益」の何倍まで買われているかを示す、割高・割安の“ものさし”です。数字が大きいほど将来への期待が株価に多く入っている状態で、PERが高い株は好決算を出しても「想定内」として売られることがあります。過去最高益でも株が売られる場面を読み解くカギになります。
コンセンサス(市場予想/Consensus)
決算や経済指標について、多くのアナリストの予想を平均した「市場のおおよその予想値」です。株価は数字そのものより、コンセンサスに対して上振れたか・下振れたかで動きます。
押し目買い(おしめがい/Buy the Dip)
上昇してきた相場が一時的に下げた場面(押し目)をねらって買うことです。安く拾って再上昇の利益をねらう発想ですが、一時的な下げか本格的な下落の入り口かは後にならないと分からない、難しい手法です。
為替・世界経済
為替介入
政府・中央銀行が外国為替市場で自国通貨を売買して為替レートを誘導する政策です(日本では財務省が決定し日銀が実務を担います)。行きすぎをけん制する効果はありますが、流れそのものを変える力は限定的です。
協調介入(きょうちょうかいにゅう/Coordinated Intervention)
複数の国の通貨当局が、あらかじめ話をつけたうえで同じタイミング・同じ方向に為替を売り買いすることです。日本が一国だけで行う単独介入と対になる言葉で、効き目を生んでいるのは金額の大きさよりも「主要国が同じ方向を向いている」というメッセージのほうです。向きは毎回ちがい、1998年は円安を止めるための円買い、2011年3月は震災後の円高を止めるための円売りでした。
レートチェック(Rate Check)
通貨当局(日本なら財務省・日銀)が民間の銀行に「いまの為替レートはいくらか」と問い合わせる行為です。ただの値段確認ではなく、当局が相場水準を尋ねてくること自体が「そろそろ介入するかもしれない」というサインとして受け止められます。口先介入→レートチェック→実弾介入という段階のうち真ん中にあたり、まだお金は動いていないのに相場のほうが先に動くことがあります。
口先介入(くちさきかいにゅう/Verbal Intervention)
実際に売買はせず、当局者の発言だけで為替の動きを牽制することです。お金は1円も動かないので、財務省が公表する介入の実績額にも載りません。効き目は言葉の強さと、その当局が本当にやると思われているかで決まり、言うだけの期間が長く続くほど、市場は本気度を割り引きます。
円キャリートレード
低金利の円を借りて、高金利の通貨(ドルなど)に投資する取引のことです。金利差で利益をねらえますが、円高に振れると一斉に巻き戻しが起き、相場が急に荒れる引き金になります。
実需筋と投機筋(じつじゅすじ・とうきすじ)
為替を売り買いしている人を、目的で2つに分けた呼び方です。実需筋は、輸入代金の支払いや海外旅行のように、実際に外貨が必要で両替する人。値段を選ばず、必要な日に必要な額を買います。投機筋は、値動きそのものから利益を狙う人。買ったものをあとで売り戻すので、行きと帰りの2回、相場が動きます。1日のうちに大きく上がって大きく下がる往復が起きるのは、この「あとで戻す」売買があるからです。
セーフヘイブン(安全資産)
市場の混乱や地政学リスクが高まった時に、投資家の資金が集中する「相対的に安全とされる資産」のことです。代表例は米ドル・米国債・日本円・スイスフラン・金(ゴールド)です。
地政学リスク
紛争・テロ・外交摩擦など、国家間の対立が経済や金融市場に与える悪影響を指します。先が読みにくいため株が売られ、金や円などの“安全資産”が買われやすくなります。
地政学リスクプレミアム
戦争・紛争・テロといった国際情勢の緊張が、原油などの価格に上乗せされる「割増し分」のことです。実際に供給が止まっていなくても心配だけで価格は上がり、緊張が緩むと上乗せ分がはがれて急に戻ることがあります。
二次制裁(にじせいさい)
経済制裁をかけるとき、相手の国の政府・企業・個人を直接しばるのが一次制裁です。これに対して二次制裁は、その国と取引した「第三国」の企業や銀行まで罰の対象にする仕組みをいいます。アメリカの場合、罰の中身の柱はドルの決済網からの締め出しです。世界の貿易や資源の代金は多くがドルで払われ、その送金はアメリカの銀行網を通ります。だから、制裁をかけている国が1か国でも、影響は世界中の会社に広がります。
スタグフレーション
景気の停滞(スタグネーション)と物価上昇(インフレ)が同時に起きる状態です。原油など資源価格の高騰が引き金になりやすく、家計にも企業にも厳しい状況です。
日米金利差(にちべいきんりさ)
日本と米国の金利(とくに10年国債利回りなどの長期金利)の差のことです。お金は金利の高い通貨へ集まりやすいため、金利差が大きいほど円安・ドル高に振れやすく、ドル円相場の方向を読む基本のものさしです。
コストプッシュインフレ(コスト型インフレ)
原油や原材料、人件費などのコスト上昇が原因で物価が上がるタイプのインフレです。需要が伸びて上がる「ディマンドプル型」とは逆で、賃金が追いつかないと家計に負担だけが残る「悪いインフレ」になりやすいのが特徴です。
覆面介入(ふくめんかいにゅう/ステルス介入)
政府・日銀が為替介入を実施しても、その事実をすぐには公表しない手法です。市場に「介入が入ったのか?」という疑心暗鬼を持たせることで、比較的少ない金額でも投機筋を牽制し、効果を長持ちさせる狙いがあります。
スティッキーインフレ(Sticky Inflation/粘着的インフレ)
物価の上昇率が、利上げや景気減速が進んでもなかなか下がらず高止まりする状態です。契約更新サイクルが長いサービス価格や家賃はとくに下がりにくく、インフレが粘るほど中央銀行の利下げも遅れやすくなります。
ディスインフレ(Disinflation)
物価は上がり続けているものの、その「上がるスピード」が落ちてきている状態です。値段そのものが下がるデフレとはまったく別もので、値札は去年より高いまま。中央銀行が利上げを止める条件は「物価が下がること」ではなく、この上昇率が目標に向けて鈍ってくることです。
基調インフレ(きちょうインフレ/Underlying Inflation)
天候・原油・一時的な値下げといったその月かぎりの要因を取りのぞいたあとに残る、物価の「地の流れ」のことです。ひとつの決まった指標を指す言葉ではなく、コアCPI・コアPCE・刈り込み平均など複数の見方をまとめた呼び名です。中央銀行が金利を動かすかどうかを決めるとき見ているのは、今月の数字ではなくこの地の流れのほう。だから「1カ月だけ良かった」では動きませんし、逆に流れが変わったと確信できるまでは金利を下げにくい、ということでもあります。2026年8月28日のジャクソンホール会議で、ウォーシュFRB議長が繰り返したのがこの言葉でした。
期待インフレ率(きたいインフレりつ/Inflation Expectations)
家計や企業、市場が「これから先、物価がどれくらい上がりそうか」と予想する物価上昇率です。実際に出た物価指数(CPI)が“過去〜今”の物価なら、こちらは“これから”の見通しで、みんなの予想が上がると賃上げや値上げを通じて本物のインフレを招きやすく、中央銀行がもっとも警戒します。
実効為替レート(じっこうかわせレート/Effective Exchange Rate)
円がドルだけでなくユーロや人民元など多くの通貨に対して、総合的にどれくらい強いかをまとめて測った指数です。物価の差まで調整した「実質実効為替レート」は、円の長期的な実力を見るのに使われます。
交易条件(こうえきじょうけん)
輸出するモノの値段と、輸入するモノの値段を比べたものです。輸入のほうが強く上がると「交易条件が悪くなる」といい、同じ量を売って買えるものが減ることを意味します。日本は資源や食料の多くを買っているので、円安と資源高が重なると悪くなりやすいのが特徴です。2026年7月は輸出物価が前年比+18.9%、輸入物価が+29.1%(いずれも円ベース)で、その差は10.2ポイントありました。
想定為替レート(そうていかわせレート/Assumed Exchange Rate)
会社が1年間の業績見通しを立てるときに「1ドルは何円として計算するか」と置いた前提のことです。海外で稼ぐ会社は円に直すレート次第で売上も利益も変わるため、何らかの前提を置かないと見通しが計算できません。前提を円安の側に置き直すと、事業が何も変わらなくても円に直した利益の見通しは増えるので、上方修正のニュースを見たときは「売れたから増えたのか、前提を変えたから増えたのか」を確かめると意味がまったく違って見えてきます。
市場心理・相場のことわざ
リスクオン・リスクオフ
投資家心理を表す言葉で、リスクオン=株などリスク資産を積極的に買う局面、リスクオフ=国債・金・円など安全資産へお金が逃げる局面を指します。同じ市場でも心理の“天気”で買われるものが変わります。
織り込み済み(Priced in)
あるニュースや予想が、発表される前から株価などにすでに反映されている状態のことです。だから良い決算でも株が下がることがあり、相場を動かすのは「予想と現実のズレ」です。
グッドニュース・イズ・バッドニュース
景気が良いという好材料が、逆に株式市場の重しになる現象のことです。「景気が強い→インフレが心配→中央銀行が金融引き締めを続けるかも」という連想で起こり、市場の関心が金利に向いている局面で表れやすくなります。
ボラティリティ
ある資産の価格がどれくらい大きく変動するかを示す度合いです。数値が大きいほど値動きが激しく、上がる方向にも下がる方向にも「振れ幅」の話であって「高い=下落」という意味ではありません。
調整局面(ちょうせいきょくめん)
上がってきた相場がいったん下がり、値段が落ち着きどころを探している状態のことです。市場の慣用として、直近の高値からおよそ10%下げると「調整局面」、20%を超えると「弱気相場(ベアマーケット)」と呼び分けます。公的な定義ではありませんが、「暴落」のような感情の乗った言葉を、下落率という共通のものさしに置き換えられるのが利点です。
全面安(ぜんめんやす/Broad-based Decline)
ほとんどの銘柄・ほとんどの業種がそろって下がる日のことです。目安になるのは下げ幅ではなく「下げた銘柄の広さ」で、東証には33の業種区分があり、そのほとんど、あるいは全部が下がった日がこう呼ばれます。指数が大きく下げていても下げた銘柄が半分なら全面安ではなく、一部の大きな銘柄が指数を引っぱった日です。
リリーフラリー(Relief Rally)
戦争や金融不安など、市場が恐れていた悪材料が解消・後退したときに起こる「安堵の買い戻し」による株価上昇のことです。下げすぎの反動で起こる自律反発と違い、悪材料そのものが消えることがきっかけになる点が特徴です。
アク抜け(あくぬけ)
相場を押さえつけていた悪材料が出尽くし(峠を越え)、相場が軽くなって上向きやすくなることです。料理でアク(灰汁)を取ると味がすっきりするように、市場の心配ごとが一巡すると、警戒で売られていた分の買い戻しが入りやすくなります。ただし「重しが取れた」だけで、新しい買い材料が出たわけではない点に注意です。
材料出尽くし(ざいりょうでつくし)
みんなが待っていた好材料が実際に発表された瞬間、それを見込んで先に買っていた人たちが利益確定に動き、良いニュースなのに株価が下がる現象です。「決算は良かったのに株価は下がった」というニュースの正体は、たいていこれにあたります。
往って来い(いってこい)
相場が大きく上がる・下がるを繰り返した結果、結局元の水準近くまで戻ってくることを指す相場のことわざです。途中の値動きがどれだけ激しくても、期間の始めと終わりで見ればほとんど動いていない状態を表します。
夏枯れ相場(なつがれそうば)
夏休みやお盆で市場に参加する人が減り、売買が細って相場の動きが鈍くなる時期を指す相場のことわざです。ただし毎年かならず起きる法則ではなく、参加する人が少ないぶん、かえって値段が大きく動くこともあります。
薄商い(うすあきない/Thin Trading)
市場に売り買いの注文が少ない状態のことです。海外市場が休みの日、連休、大きな発表の前の様子見で起こります。参加する人が減るぶん注文1本が値段に与える影響は大きくなるので、静かな日というより、何か起きたときの振れが大きく出る日です。
リバランス(Rebalancing)
「リバランス」とは、値上がり・値下がりで崩れた資産の配分(割合)を、もとの方針どおりに整え直すことです。感情に流されず「高く売って安く買う」を仕組みにできるのが利点です。
持ち高調整(もちだかちょうせい/Position Adjustment)
相場の良し悪しとは関係なく、いま抱えている量そのものを整えるために出る売買です。「ポジション調整」とも呼ばれます。いちばん多いのは大きなイベントの直前で、中央銀行トップの講演・雇用統計・決算・連休の前などに、いったん量を軽くする動きが出ます。だから「悪材料が出たから下がった」下げとは意味がちがい、イベントを通り過ぎるとあっさり買い戻されることもあります。売りだけでなく、売り建てを買い戻す形の調整もあります。ニュースが「様子見」「見極めたい」と書いている日は、たいていこれが起きています。
ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)
毎月◯円のように「一定の金額」を、価格の高い・安いにかかわらず定期的に買い続けていく投資のやり方です。高いときは少ししか、安いときは多くの口数を自動的に買うことになるため、長い目で見ると平均の買値がならされていくのが特徴です。
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