📉 7月22日の日経平均は前場+1,278円高から終値116円安の反落/高値から1,476円の「往って来い」と、好決算でも下がったビッグテック
📅 日本株・米国株・決算・為替・金利・商品 / 今日の経済用語「材料出尽くし」 / アルファベット・テスラ・IBM・TI決算
おはようございます、お金バイバイマンです。昨日7/22(水)の東京市場は、日経平均が−116.59円(−0.18%)の反落、終値は66,115.60円でした。数字だけ見ると「ほぼ横ばいの静かな一日」に見えます。でも、中身はまったく静かではありませんでした。前場の引け(前引け)の時点では+1,278.93円高で、高値は一時67,592.20円。そこから大引けにかけて1,476.60円も値を消して、最後はマイナスで終わっています。いわゆる「往って来い」です。そしてもう一つ、昨日の米国市場の取引終了後(日本時間では今朝方)に出たビッグテック決算では、数字が良かった会社の株価まで時間外で下げました。今日の経済用語は、この現象そのものである「材料出尽くし」を選びました。順番に見ていきます。
🇯🇵 日本株式市場(7/22水 終値・朝の急騰を一日かけて失った反落)
利上げ観測が意識される水準
昨日の一日を時間順に追うと、性格がはっきり分かります。始値は66,449.27円と買い先行で始まり、朝の9時43分には高値67,592.20円をつけました。前日比では+1,300円を超える場面です。前引けも67,511.12円(+1,278.93円)と、午前中はしっかり買われていました。ところが後場に入ると流れが変わり、下げ足を速めて安値65,955.60円まで沈む場面も。終値は66,115.60円でした。一日の値幅は1,636.60円、高値からの引けは−1,476.60円です。「朝から軟調だった」のではなく、朝は買われていたのに、一日かけて失速した——これが昨日の実態でした。東証プライムの売買代金は10兆4,377.37億円と、10兆円を超える活況でした。
流れを3段階に分けると、こうなります。第一に、朝の買い材料。前日の米半導体株高に加えて、台湾のTSMCがファウンドリ(半導体の受託生産)の価格を最大10%引き上げるとの報道が伝わり、関連銘柄に買いが集まりました。第二に、後場の失速。ナスダック100先物の伸び悩みと、韓国KOSPIが上げ幅を縮小したことに歩調を合わせるように、日本株にも利益確定売りが出ました。第三に、引けにかけての急失速。この日の取引終了後に控える米ビッグテック決算を前にした様子見が広がりました。ここで効いてきたのが、ドル円が163円台まで進んだ円安によるインフレ懸念と、米・イランの衝突やホルムズ海峡の封鎖宣言といった中東情勢です。どちらも朝から新しく出てきた材料ではありません。朝の買い材料が一巡したあとで、もともと足元にあった重い材料のほうが目立ちはじめた、という順番でした。中東が緊迫すると原油が上がり、原油高は資源を輸入に頼る日本の物価を押し上げる。物価が上がれば日銀の利上げが意識される——この一本の線が、昨日の相場の背骨です。
ここでもう一つ、見落とされがちな点を挙げておきます。TOPIXは+0.45%とプラスで終わっています。日経平均はマイナス、TOPIXはプラス。つまり「全面安の日」ではありませんでした。実際、業種ごとの動きははっきり分かれています。銀行株は日銀の利上げ観測を追い風に買われ、村田製作所や太陽誘電といった半導体部品関連も高い一方で、ニトリやファーストリテイリングなど、輸入コストが重くなる内需・小売株は円安を嫌気して売られました。同じ「円安」というニュースが、ある業種には追い風、別の業種には向かい風になる。指数の1本の数字だけを見ていると、この分かれ方は見えません。日経平均は値がさ株(株価の高い銘柄)の影響を受けやすい指数なので、私は、日経平均が大きく動いた日ほどTOPIXも並べて見るようにしています。
※終値ベースで表記(土日・祝日は休場のため含みません。7/20は海の日で休場のためデータがありません)。期間(7/6→7/22)では、7/6の6万9,738円が期間高値、7/17の6万4,141円が期間最安値です。7/21に2,091円高と大きく戻したあと、7/22は116円安と小幅に反落しました。各営業日の終値は複数の情報源で照合した確定値です。
📌 注目ポイント:前引け+1,278円 → 大引け−116円の「往って来い」
朝はしっかり買われた
午前はまだ勢いが残っていた
高値からは−1,476.60円
「日経平均、116円安」という見出しだけを見ると、何も起きなかった日のように読めます。実際には、朝の時点で+1,300円を超えていた上げ幅を、一日かけて全部返した一日でした。前日の7/21が終値=その日の高値だったのとは、ちょうど正反対の形です。上げ幅の消え方には、それなりの理由がありました。後場に入って海外の株価指数先物やアジア株の勢いが鈍ったこと、この日の取引終了後に米ビッグテックの決算が控えていたこと、そして円安と中東情勢という、日本の物価に直接効いてくる材料が意識され続けたこと。どれか一つが決定打だったというより、朝の買いを支えていた理由(TSMCの値上げ報道と前日の米半導体株高)が、時間とともに「もう十分織り込んだ」に変わっていった、という感じの一日です。
こういう日の受け止め方は、人によって違っていいと思います。「高値からこれだけ落ちたのだから、地合いは弱い」と読む方もいるでしょうし、その見方には十分な根拠があります。一方で「値幅が1,636円もあったのに、終値では−116円しか動いていない」と読むこともできます。私は、どちらか一方に決める必要はないと思っています。ただ一つだけ確かなのは、終値だけを見ていると、この日の中身は絶対に分からないということです。数字の裏側にある一日の形は、こうして四本値(始値・高値・安値・終値)を並べてはじめて見えてきます。
🇺🇸 米国株式市場(7/22水 終値・決算待ちで3指数そろって小幅安)
昨日7/22のアメリカ市場は、3指数そろって小幅安でした。ダウは−6.06ドルと、ほとんど動かなかったと言っていい水準です。理由ははっきりしていて、取引終了後に控えるアルファベット・テスラなどの決算を前にした様子見。動く材料が出るのは引けたあとなので、その前に大きくポジションを傾ける人が少なかった、ということです。中身を見ると方向感のなさがよく分かります。ダウの構成銘柄では、上昇したのがエヌビディア(+2.29%)・ジョンソン&ジョンソン(+2.00%)・ボーイング(+1.90%)。下落したのがセールスフォース(−4.15%)・IBM(−2.25%)・マイクロソフト(−1.86%)です。半導体は買われ、ソフトウェア系は売られる。指数としては横ばいでも、中では資金がしっかり動いていた一日でした。
💼 引け後の決算4社:良い数字でも下がり、冴えない数字でも時間外で買われた日
ここが、今日いちばん読者のみなさんに持ち帰ってほしい部分です。昨日の米国市場の取引終了後、日本時間では今朝方に発表された4-6月期決算のうち、アルファベット(グーグル)・テスラ・テキサス・インスツルメンツ(TI)の3社は、時間外取引で株価が下げました。ただし理由は同じではありません。テスラは利益が予想に届かなかったという分かりやすい下げですが、アルファベットとTIは数字自体が決して悪くないのに下げています。しかもこの日は、冴えない内容だったIBMが時間外では逆に買われました。「決算が良い=株価が上がる」という単純な図式が成り立たない例が、アルファベット・TI・IBMと、4社中3社で同じ日に並んだわけです。
Googleクラウド+82%と絶好調でも下落
ただし調整後EPSは大幅未達
それでも3社で最大の下げ幅
1社ずつ見ていきます。アルファベットは、売上高が1,198億ドルで市場予想の1,169.8億ドルを上回りました。中身も強く、Googleクラウドが247.7億ドルで前年同期比+82%、検索が633億ドル(+17%)、YouTube広告が110.6億ドル(+13%)。数字だけ見れば文句のつけようがありません。それでも時間外は−0.37%でした。市場が気にしたのは、AI関連の設備投資が高水準であることと、Geminiの次期モデルの遅れです。「稼げているのは分かった。で、その稼ぎをどれだけAIに突っ込むのか」——先週、AI投資の採算に市場の目が向いた場面があったことを思い出すと、この反応には一貫性があります。
テスラは少し事情が違います。売上高は282.4億ドルで予想(約264億ドル)を上回り、4-6月期の納車台数は48万126台と前年同期比+25%で過去最高でした。ここまでは文句なしの数字です。ただ、調整後EPS(1株当たり利益)が0.33ドルで、市場予想の0.53〜0.54ドルに対して大幅な未達でした。これが時間外の下落の主因です。加えてフリーキャッシュフローも−10.9億ドルと、2024年1-3月期以来9四半期ぶり(約2年3カ月ぶり)の赤字に転落しました(設備投資が前年比142%増の57.9億ドルまで膨らんだため。事前予想の−32.5億ドル前後よりは小幅な赤字です)。売った台数は過去最高なのに、手元に残るお金は減っている。「たくさん売れた」と「儲かった」が一致しなかった決算です。時間外は−2.61%でした。
そしてTI(テキサス・インスツルメンツ)が、今日の経済用語のいちばん分かりやすい実例です。売上高54.6億ドル(予想52.4億ドル)、EPS2.14ドル(予想1.95ドル)とともに上振れ。しかも7-9月期の見通しまで市場予想を超えていました。文句のつけようがない決算です。にもかかわらず、時間外は−3.37%と、時間外で下げた3社のなかで最大の下げ。ヒントは、通常取引ですでに+0.99%と先行して買われていたことにあります。「良い決算が出るだろう」と見込んだ人たちが、発表前に買っていた。そして実際に良い決算が出た瞬間、その人たちが利益を確定させた——これが後で説明する「材料出尽くし」です。
4社目のIBMだけは、逆の動きをしました。売上高172億ドル(前年同期比+1%)、調整後EPS 2.93ドル。ここには大事な前置きがあります。この数字は、8日前の7月14日にIBM自身が「暫定決算」として先に公表していたもので、その日IBM株は−25.2%と、1968年以降で最悪の下落率と伝えられる一日を記録していました。本来のアナリスト予想は売上178.6億ドル(+5%)・調整後EPS 3.01〜3.02ドルでしたから、実績はもともとの予想を大きく下回っています。さらに通期見通しも、為替一定ベースの売上成長率を「5%超」から「4〜5%」へ、フリーキャッシュフローも約157億ドルから「前年比+10億ドル程度」へと下方修正しました。
それでも22日の通常取引で−2.25%と売られたあと、時間外では上昇に転じています(上げ幅は時間帯によって変動しており、確定値としては扱いません)。22日の決算が「想定内」に見えたのは、予想が当たっていたからではなく、8日前にすでに最悪の部分が出尽くしていたから。悪材料が先に出切っていた分、想定どおりの着地が買い戻しにつながった、という読み方ができます。つまり株価が動く理由は「決算の中身」そのものより「発表前にどこまで織り込まれていたか」だったということです。
💴 為替・金利・商品(為替・米金利は7/23早朝 JST時点/原油は7/22終値)
前日終値比 +0.55円(+0.33%)
前日終値比 +0.44円(+0.23%)
52週高値4.687%に接近
為替は、前日にいったん円高方向へ振れたあと、ふたたび円安に戻しました。今朝の時点でドル円は1ドル=163.14円前後(前日の終値比+0.55円・+0.33%)、ユーロ円は1ユーロ=186.16円前後(同+0.44円・+0.23%)です。ドル円の水準を過去と比べると、1986年12月以来、約39年7カ月ぶりの円安水準圏にあたります。40年近く見ていない領域、ということです。背景として指摘されているのは主に2つで、米・イランの衝突を受けた「有事のドル買い」と、高市政権が円安を容認しているのではないか、との見方です。米10年債利回りも4.66%前後と、52週高値の4.687%に接近しています。日米の金利差は円安の土台であり続けています。
商品市況では、WTI原油(9月限)が1バレル86.83ドル(前日比+2.49ドル・+2.95%)で清算され、6週間ぶりの高値圏となりました。ホルムズ海峡の封鎖宣言をはじめとする中東の緊張が、そのまま価格に出ています。ここで一つ、数字の扱いに注意しておきたい点があります。WTIは7/22から取引の中心が8月限から9月限に移りました(限月移行)。そのため、この+2.49ドルという前日比は、9月限の前日清算値84.34ドルを基準に計算したものです(8月限の最終取引日は7/21で、同日の清算値は84.91ドルでした)。前日の記事で紹介した84.91ドル(8月限)と直接つなげて値上がり幅を計算するのは正しくありません。原油や商品の価格は、こうした限月の切り替わりで見かけ上の段差が生じることがあるので、前日比を見るときは「同じ限月同士か」を意識しておくと安全です。
今後の予定も押さえておきます。今日7/23(木)はECB(欧州中央銀行)理事会とラガルド総裁の会見があります。そして明日7/24(金)朝8時30分に日本の6月分 全国消費者物価指数(CPI)。円安と原油高がどこまで物価に効いているかが数字で出てくるので、日銀の政策を占ううえで重要な指標です。来週は7/28〜29に米FOMC、7/30〜31に日銀の金融政策決定会合(展望レポートの公表回)が続きます。念のため書いておくと、アメリカの政策金利は現在3.50〜3.75%で、いまは「利下げを待つ」局面ではありません。市場が見ているのは、7月の会合は据え置きとして、その先に利上げがあるかどうかです。ニュースで「利下げ」という言葉を見かけたら、それがいつの話かを確認してから読むことをおすすめします。
材料出尽くし(ざいりょうでつくし/Sell the News)
材料出尽くしとは、待たれていた好材料が実際に発表された瞬間、それを見込んで先に買っていた人たちが利益確定に動き、良いニュースなのに株価が下がるという現象のことです。英語では「Sell the News(ニュースで売る)」と呼ばれます。昨日のTIがまさにこれで、実績も次期の見通しも市場予想を上回ったのに、時間外では−3.37%。通常取引で先に+0.99%と買われていたことが伏線でした。アルファベットも、Googleクラウドが+82%という強い数字を出しながら時間外はマイナスでした。株価は「事実」ではなく「期待との差」で動く——この言葉は、それを一番はっきり教えてくれます。
- 織り込み済み:発表前の時点で、その材料がすでに価格に反映されている状態のこと。
- 材料出尽くし:その好材料が実際に出た瞬間に売られる動きのこと。
- アク抜け:逆に、悪材料が出切ったことで不安が消え、株価が上がる動きのこと。
- 逆の動きも同じ日に出る:昨日はIBMが、通期見通しを下方修正したのに時間外では上昇に転じました。8日前の暫定決算で株価が25%超も下げ、最悪の部分が先に消化されていたためです。これが、悪材料が出切って不安が消え、かえって買われる「アク抜け」です。材料出尽くしとアク抜けは、同じ「期待と結果のズレ」の裏表で、同じ日に両方出ることも珍しくありません。
- なぜ起きる:株価は発表される前から「たぶん良い数字が出る」という期待を先に織り込んで上がっています。だから実際に良い数字が出ても、期待を超えるほどでなければ買う理由がなくなり、逆に「もう次の材料がない」と売りが出ます。ニュースの良し悪しではなく、期待との差が株価を動かすわけです。
- 受け取り方:「良い決算なのに下がった=市場がおかしい」ではなく、発表前にどこまで期待が入っていたかを見る、と考えると腑に落ちやすくなります。ただし、これは事後の説明としては便利でも、事前の予測には使いにくい言葉でもあります。私自身は、この言葉を「次を当てる道具」ではなく、ニュースと株価がズレたときに慌てないための考え方として持っています。
正直、昨日いちばん「うわ」と思ったのはTIです。売上もEPSも次の見通しも予想超えで、これ以上どう出せばいいのという決算なのに、時間外で−3.37%。前引け+1,278円から−116円に沈んだ日経平均も、朝の買い材料が一巡したところから崩れました。日経の失速は決算の中身が理由ではなく、様子見や円安・中東といった別の要因が重なった結果なので、TIと同じ形だと言い切るのは乱暴かもしれません。それでも私には、東京の午後と、そのあとのアメリカで、良い材料が出たあとがいちばん危ないという景色が続けて二回出たように見えました。数字が良かったから上がるはず、と素直に構えていたら気持ちが持っていかれる日だと思います。
世間では「決算が良ければ株価は上がる」と説明されることが多いですし、長い目で見れば業績と株価がつながっているのはその通りだと思います。その理屈は私もよく分かります。そのうえで私自身は、短い期間の株価は業績そのものより「事前にどれだけ期待されていたか」で動くもの、くらいに構えています。だから昨日みたいな日を見ても、慌てはしませんでした。もちろん、値動きの速さを取りにいく方には全然別の景色が見えているはずで、それはそれで一つのやり方です。何をどう受け取るかは人それぞれなので、私は今日のECBと明日の全国CPIを、慎重に見ていきます。
📊 昨日の総括と、今日の焦点
本記事の数値・統計・イベント日程は、以下の公式・準公式ソースを2つ以上で照合して作成しています。
- 日本取引所グループ(JPX)・日経マーケットデータ(日経平均・TOPIX 終値)
- 日本経済新聞(電子版)・株探/株探US・Reuters(ロイター)・CNBC
- 米証券取引委員会(SEC)および各社IR(アルファベット・テスラ・IBM・TIの決算)
- 米連邦準備制度理事会(FRB)・欧州中央銀行(ECB)公式サイト
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。為替・金利は「7月23日早朝(日本時間5時27分〜5時32分)時点」の値で、執筆後に変動する場合があります。決算に関する時間外取引の株価変動率は執筆時点のもので、翌営業日の通常取引の値動きとは異なります。経済指標・決算・金融政策会合の発表日程は、各発表機関・企業の都合により変更される場合があります。


コメント