📉 米6月雇用統計は+5.7万人で予想の半分――それでもNYダウは史上最高値/日経は−1,741円の大幅反落(半導体安の波及)
📅 日本株・米国株・為替・金利・商品 / 今日の経済用語「平均時給」 / 雇用統計は+5.7万人と予想(+11万人前後)を大幅に下回り、それでもダウは+594ドルの最高値。ドル円は161円台へ円高。本日7/3は米国市場が完全休場です
おはようございます、お金バイバイマンです。昨日の記事の最後に「雇用統計の結果は明日の朝に受け止めれば十分」と書きました。その答え合わせの朝です。昨夜21:30に発表された米6月雇用統計は、就業者の増加が+5.7万人と、市場予想(+11万人前後)のほぼ半分という弱い結果でした。ところが米国株は下がるどころか、NYダウが+594ドル高で終値ベースの史上最高値を更新。「弱い数字なのに株高?」と首をかしげたくなる組み合わせが起きています。一方、その前の昨日7/2(木)の日経平均は、前夜の米半導体株安を受けて−1,741円(−2.47%)の大幅反落。為替は雇用統計のあと1ドル=161円台へ円高に振れました。今日はこの「?」を、時間の流れに沿って順番にほどいていきます。
🇯🇵 日本株式市場(7/2木 終値・4営業日ぶり大幅反落/TOPIXは逆行高)
昨日7/2(木)の日経平均は−1,741.81円(−2.47%)の大幅反落で、3日続伸が止まりました。終値は68,733円と、6万9,000円を割り込みました。下げの主因は、前夜(7/1)の米国市場で半導体・メモリ株に利益確定売りが続いた流れが、東京のAI・半導体関連株に波及したことです。ここで大事なのは時間の順番で、米雇用統計が出たのは昨日の東京市場が閉まったあとの夜21:30。つまり昨日の日経の下げは雇用統計の結果とは関係なく、「半導体株の調整」と「今夜の雇用統計を前にした持ち高調整」によるものでした。
興味深いのは、日経平均が−2.47%も下げたのに、TOPIXは+0.09%と小幅ながらプラスで終えたことです。日経平均は値がさの半導体株の影響を受けやすい指数なので大きく下げましたが、市場全体では金融や自動車など半導体以外の銘柄が底堅く、「半導体だけが売られ、それ以外は買われる」という二極化が起きていました。「日経が1,700円安」という見出しだけ見ると総崩れのようですが、中身を見ると全面安ではない――指数の名前と市場の実態は、ときどきズレます。私はこういう日ほど、日経平均とTOPIXの両方を見比べるようにしています。
※終値ベースで表記(土日は休場のため含みません)。期間(6/17→7/2)は、6/25に+3,191円で期間最高値7万2,366円をつけた翌日6/26に−3,005円と、歴史的な急騰と急落が隣り合う乱高下。その後6/29〜7/1の3日続伸で7万474円まで持ち直しましたが、7/2に−1,741円の大幅反落で期間最安値6万8,733円まで下げて着地しました。各営業日の終値は2つ以上の情報源で照合した確定値です。
📌 注目ポイント(雇用統計は「予想の半分」――中身も弱かった)
昨夜21:30発表の米6月雇用統計を整理します。就業者の増え幅を示すNFP(非農業部門雇用者数)は+5.7万人。市場予想(+11万人前後)のほぼ半分でした。さらに、4月・5月分もあわせて−7.4万人の下方修正(5月は+17.2万人→+12.9万人へ)が入り、「そもそもここ数カ月、思っていたより雇用は増えていませんでした」という答え合わせつき。一方で失業率は4.3%→4.2%へ低下しましたが、これは職探しをする人自体が減った(労働参加率が61.5%へ低下した)ことによるもので、“良い低下”とは言いにくい中身です。平均時給は前月比+0.3%・前年比+3.5%と、こちらはほぼ予想どおりでした。
では、なぜこの弱い数字でNYダウは史上最高値なのか。カギは、いまのFRB(米国の中央銀行)が「利下げ」ではなく「追加利上げ」を検討している局面にあることです。ウォーシュ議長のFRBはインフレ退治を優先していて、市場は「9月に利上げがあるか」を織り込んできました。そこに弱い雇用統計が出たことで、「これなら追加利上げを急ぐ必要はなさそうだ」→金利の重しが軽くなる→株には追い風、という流れになったのです(金利先物市場では、直近7月会合〈7/28-29〉での利上げ確率が約2割まで急低下。9月会合の利上げ確率も、発表前の約75%から約60%へ下がりました)。6月6日の記事で「グッドニュース・イズ・バッドニュース(強い経済指標がかえって株安を招く)」を取り上げましたが、今回はちょうどその裏返しです。ただし、これは「弱い数字はいつでも株高」という意味ではありません。雇用の悪化が本格的になれば、話は「利上げどうこう」から「景気そのものの心配」に変わります。+5.7万人と過去分の下方修正は、その入り口を疑わせる程度には弱い数字。手放しで喜ぶ場面ではない、と私は受け止めています。
🇺🇸 米国株式市場(7/2木 終値・ダウ最高値×ナスダック続落の二極化)
米国株は指数によって明暗がくっきり分かれました。NYダウは+594ドル(+1.14%)で終値ベースの史上最高値を更新。構成30銘柄のうち24銘柄が上昇と、幅広く買われています。一方、ナスダックは−0.80%と続落。前日に続いて半導体株の下げが止まらず(半導体株全体で−4%超の下げ、テスラも−7%)、ハイテクの重さが指数を押し下げました。S&P500がほぼ横ばい(+0.01pt)だったのは、この「ハイテク売り」と「それ以外への買い」の綱引きがちょうど釣り合った結果です。
つまり昨夜の米国市場で起きていたのは、「雇用統計を好感して全体が上がった」という単純な話ではなく、利上げ観測の後退を追い風にハイテク以外の銘柄へ資金が向かう、資金の引っ越しでした。東京とニューヨークで同じ日に「半導体は売り、それ以外は買い」という同じ構図が出ているのも面白いところです。半導体は今年前半の上げが大きかった分、調整も大きく出やすい。指数の名前だけで「上がった」「下がった」と判断すると、実態を見誤りやすい一日でした。
💴 為替・金利・商品(7月3日 朝 JST時点)
雇用統計後にドル売り・7/3 5:49 JST時点
7/3 5:49 JST時点
本日は米債券市場も休場
為替は雇用統計を境に景色が変わりました。発表前まで162円台半ばだったドル円は、弱い雇用を受けたドル売りで1ドル=161.11円前後(7/3 5:49 JST時点)へ、約1.4円の円高に振れています。ユーロ円も184円台前半へ小幅の円高。米10年債利回りは4.47%前後へ小幅低下しました。なお、本日7/3は独立記念日(7/4)の振替で、米国は株式・債券市場とも完全休場。海外勢の参加が細るため、今日の為替は値動きが乏しくなりやすい点も頭に入れておきたいところです。
商品市況では、WTI原油(8月物)の清算値が1バレル68.48ドル・前日比+0.16%とほぼ横ばい。中東の供給正常化の観測が引き続き上値を抑えています。NY金(8月物)は4,134.51ドル・前日比+1.28%の反発。金利を生まない金にとって「利上げ観測の後退」は追い風で、弱い雇用統計に素直に反応した形です。
ここで一つ、正直な感覚を書いておきます。162円台から161円台への円高は、方向としては家計にありがたい動きです。ただ、1.4円戻ったところで、水準としてはまだ39年ぶりの円安圏のまま。スーパーでの値段が明日から変わるわけではありません。私は「円高に振れた!」と喜ぶより、「円安の前提はまだ崩れていない」と見て、生活コストの点検を続けるつもりです。為替の1〜2円の往復に生活設計を合わせにいくと、疲れるだけですから。
平均時給(Average Hourly Earnings)
平均時給とは、米雇用統計と同時に発表される、働く人の1時間あたりの賃金の平均のことです。雇用統計というとNFP(就業者の増減)と失業率が主役に見えますが、実はこの平均時給を含めた「3点セット」で読むのが基本形。なぜ賃金が大事かというと、時給の伸びは物価に直結するからです。企業は人件費が上がるとその分を商品の値段に乗せやすく、賃金の伸びすぎは「賃金→物価→また賃金」というインフレの循環を生みます。だからFRBはこの数字を「賃金インフレの体温計」として見ています。今回の6月分は前年比+3.5%と、雇用の弱さのわりに賃金は崩れていない、というバランスでした。強すぎれば利上げ圧力、弱すぎれば景気の心配――地味な数字ですが、中央銀行の次の一手を読むうえで欠かせない脇役です。
- 平均時給とは:雇用統計の「3点セット」の一つで、働く人の時間あたり賃金の平均。前月比・前年比の伸び率で見ます(今回は前月比+0.3%・前年比+3.5%)。
- なぜ大事か:賃金の伸びは物価に波及しやすく、FRBの利上げ・利下げ判断を左右します。雇用の「量」(NFP)と「値段」(時給)はセットで初めて意味を持ちます。
- 家計目線:発想は日本の実質賃金と同じで、「給料の伸びが物価の伸びに追いついているか」が本質。自分の収入も、額面ではなく物価とセットで点検するクセをつけたいところです。
昨日の記事で「結果が出る前に先回りして動かない」「結果は明日の朝に受け止めれば十分」と書きました。で、朝になって答え合わせをしてみたら――雇用は予想の半分なのに、ダウは史上最高値。正直、事前にどれだけ考えても、この組み合わせをピタリと当てるのは無理だったと思います。「弱い数字だから売っておこう」と先回りしていた人は、最高値の上げを取り逃がしたわけです。ニュースの良し悪しと株価の上げ下げは、いつも同じ向きに動くわけではない。昨夜はその教科書のような夜でした。
だから私が今日やることも、やっぱり変わりません。積立の設定はいじらず、いつも通りです。日経は1,700円下げましたが、TOPIXはプラスで、下げの主役は今年上げすぎた半導体。慌てて何かを売り買いする材料は、私には見当たりませんでした。むしろ気に留めているのは、雇用統計の「中身」の弱さ(過去分の下方修正と、職探しをやめた人の増加)のほうです。これが続くようなら、いずれ話は「景気の心配」に変わる。そうなったときに慌てないために、生活防衛資金を別に確保して、余ったお金で淡々と積み立てるという順番だけは崩さずにいきます。今夜は米国市場もお休み。相場も私たちも、ちょっと一息つきましょう。
📊 7/2(木)の総括
本記事の数値・統計・イベント日程は、以下の公式・準公式ソースを2つ以上で照合して作成しています。
- 米労働省労働統計局(BLS・6月雇用統計)・NYSE公式カレンダー(休場日程)
- 日本取引所グループ(JPX)・日経マーケットデータ(日経平均・TOPIX・国債利回り)
- 日本経済新聞(電子版)・CNBC・Reuters(ロイター)・Yahoo!ファイナンス(日米株・市況解説)
- Investing.com・Barchart(為替・米金利・WTI原油/NY金の清算値)
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。為替・金利は「7/3 5:49 JST時点」等の値を含み、執筆後に変動する場合があります。米国市場は本日7/3(金)、独立記念日(7/4)の振替で株式・債券とも休場です(次の営業日は7/6月曜)。


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