📉 米5月CPIが約3年ぶり高水準の+4.2%・中東緊張も重なり日米そろって株安|原油は90ドル台へ上昇、日経は1,237円安の6万4,179円へ再び反落
📌 日本株 · 米国株 · 為替金利 · 商品市況 / 今日の経済用語「地政学リスクプレミアム(Geopolitical Risk Premium)」
おはようございます、お金バイバイマンです。昨日6月10日(水)は、前日にせっかく戻したばかりの東京市場が、一転して再び大きく崩れました。日経平均は1,237円安・6万4,179円です。東京市場を押し下げたのは、前日の米ハイテク株安の流れと、トランプ大統領のイランに対する強硬な発言など中東情勢の緊張、そして昨夜の米CPI発表を前にした持ち高調整の売りです。その米5月CPI(消費者物価指数)は、東京市場が閉まったあとの昨夜21時半に発表され、前年比+4.2%と約3年ぶりの高い伸びになりました。これを受けた米国株は、中東緊張も重なって3指数そろって反落。原油は90ドル台へ上昇し、金は逆に大きく下落しました。上げたと思ったら翌日には材料が増えて下げる──相変わらず落ち着かない相場ですが、まずは数字を一つずつ整理していきましょう。
🇯🇵 日本株式市場(6/10水 終値・前日の反発から一転して大幅反落)
前日の反発から一転反落
幅広く売り優勢
高めの水準が継続
日経平均は6月10日(水)終値で6万4,179円、前日比1,237円安(-1.89%)と大幅に反落しました。前日6月9日は1,392円高と大きく戻したばかりですから、わずか一日でその戻り分の大半を吐き出した格好です。背景には、前日の米ハイテク株安の流れと中東情勢の緊張、そして同日夜に控えた米CPI発表を前にした持ち高調整があり、リスクを避ける売りが先行しました。なお、CPIの発表は東京市場の大引け(15時半)よりあとの21時半なので、この日の東京市場が織り込んだのはCPIの「結果」ではなく「警戒」です。TOPIXも-1.25%と幅広く下げ、長期金利(新発10年国債利回り)は2.68%と、前日からほぼ横ばいの高い水準が続いています。株安が進んでも長期金利が高止まりしているという地合いは、ここしばらく変わっていません。上げては下げ、下げては上げという展開が続いていますが、6月3日に史上最高値(6万8,402円)をつけてからは、全体としてじりじりと水準を切り下げている点は意識しておきたいところです。
※終値ベースで表記。6月3日(水)に終値ベースの史上最高値6万8,402円をつけたあと、6月8日(月)6万4,024円まで急落、6月9日(火)に6万5,416円へ反発したものの、6月10日(水)は再び6万4,179円へ反落しました。チャートはおおまかな推移を示すイメージで、最高値・安値・直近終値などの主要ポイントは確定値です。
🇺🇸 米国株式市場(米国時間6/10水 終値・CPI高水準と中東緊張で3指数そろって反落)
5万ドルを再び割り込む
幅広く売り優勢
ハイテク中心に下げ主導
米国市場は6月10日(米国時間 水)、NYダウ・S&P500・ナスダックの3指数がそろって1.6〜2.0%安と大きく下げました。下落の引き金は、昨夜のCPIが約3年ぶりの高水準だったことと、中東情勢の緊張が一段と強まったことの二つです。物価高が確認されたことで年内の利上げ観測が強まり、金利が上がりやすい局面でハイテク株がとくに売られました。米10年債利回りは前日比でやや上昇し、約4.56%です。注意したいのは、ここで「悪材料が二つ重なった」という事実そのものよりも、その中身が一様ではない点です。CPIは確かにヘッドライン(総合)こそ高い伸びでしたが、コアの前月比は予想を下回っており(後述)、物価の基調がそこまで一直線に再加速したとは言い切れません。地政学も、現時点では報道ベースの情報が中心です。下げの理由が「単純な物価高」一色なのか、それとも「中東リスクへの一時的な警戒」も多く含むのか──ここを切り分けて見ておくことが、目先の値動きに振り回されないコツだと私は考えています。
💴 為替・金利(6月11日 朝時点)
CPI後にやや上昇
為替は6月11日朝(日本時間)時点で、ドル円が1ドル=160.50円、ユーロ円が1ユーロ=185.19円です。先週末の強い雇用統計に続き、昨夜のCPIでも物価の高さが確認されたことで年内の利上げ観測が根強くなり、ドル円は160円台での推移が続いています。160円台は、輸入物価を通じて私たちの食品やエネルギーの値段にも効いてくる水準なので、私は株価以上に、この為替の高止まりを生活者目線で気にしています。原油が上昇している局面での円安は、ガソリンや電気代にとっては二重に効いてくる組み合わせだからです。なお商品市況では、NYMEXのWTI原油7月物が前日比+1.83ドル(+2.1%)高の1バレル=90.03ドルで取引を終える一方、COMEXの金8月物は前日比-153.1ドル(-3.6%)安の4,133.3ドル(通常取引終了後には一時4,105ドル)と、対照的な動きになりました。中東で緊張が高まると原油が上がるのは分かりやすいのですが、ふだん「有事に買われる」とされる金が今回は逆に大きく下げています。この点については、今日の経済用語のところで少し触れます。
🌟 今日の主役:米5月CPI +4.2%(約3年ぶり高水準)と中東情勢
前回4月 +3.8%/約3年ぶり高水準
前回 +2.8%
中身はやや軟化
昨夜21時半(日本時間)に発表された米5月CPI(消費者物価指数)は、総合が前年比+4.2%(予想+4.2%と一致)で、前回4月の+3.8%から加速し、約3年ぶりの高い伸びとなりました。前月比も+0.5%(予想+0.5%)と、月次としては高めの伸びです。報道では、エネルギー価格の上昇が押し上げの主因とされています。ここで大事なのは、「総合は3年ぶり高水準で派手だが、中身は一様ではない」という二面性です。食料・エネルギーを除いたコアCPIは、前年比こそ+2.9%(予想通り)でしたが、前月比は+0.2%と予想の+0.3%を下回りました。つまり、エネルギーなど振れの大きい部分が総合を押し上げた一方で、物価の基調を映すコアの足元の勢いは、むしろやや鈍化していたわけです。市場は来週のFOMCでの政策金利据え置きをほぼ織り込みつつ、その先については、雇用が堅調ななかでの物価の再加速を受けて、年内の利上げまで視野に入れる方向で反応しました。ただ、ヘッドラインの数字だけを見て「インフレが一直線に再燃した」と早合点するのは禁物で、コアの軟化という反対側の事実もセットで押さえておきたいところです。
もう一つの主役が中東情勢です。トランプ大統領が「イランとの交渉は長すぎる」「代償を払うことになる」と発言し、ホルムズ海峡での米軍ヘリ撃墜への報復として、米軍がイラン国内の軍事施設を空爆したと報じられています。これらは現時点で報道ベースの情報が中心であり、断定はできませんが、原油高・株安の主因の一つになったとみられます。そして来週は、金融政策イベントが連続します。順番に注意したいのですが、まず6月15日(月)-16日(火)に日銀の金融政策決定会合があり、結果は6月16日に公表されます。続いて米国時間の6月16日(火)-17日(水)に米FOMCが開かれ、今回は政策金利の見通し(SEP・ドットチャート)も公表されます。日付だけ見ると重なっていますが、時差の関係で、日銀の結果が16日(火)の日中に先に出て、FOMCの結果は日本時間18日(木)早朝に出る順番です。物価高・地政学・そして来週の二大中央銀行イベントと、この先も気を抜けない材料が並んでいます。
地政学リスクプレミアム(Geopolitical Risk Premium)
地政学リスクプレミアムとは、戦争・紛争・テロといった国際情勢の緊張が、原油などの価格に上乗せされる「割増し分」のことです。とくに原油は、世界の主要な産地や輸送路が中東に集中しているため、ホルムズ海峡をめぐる緊張など「供給が止まるかもしれない」という不安が高まるだけで、実際にはまだ一滴も止まっていなくても、先回りして価格が跳ね上がります。昨日のWTI原油の上昇(7月物+2.1%・90.03ドル)は、まさにこの上乗せ分が膨らんだ一例だと言えます。注意したいのは、これが「実需」ではなく「不安」が生む価格だという点です。緊張が和らげば、上乗せ分はすっと剥がれ落ちて価格が元に戻ることも多く、原油相場が短期間で乱高下しやすい一因にもなっています。
- 「不安」が生む価格:実際の供給途絶が起きる前から、その可能性を織り込んで価格が上がる。だから緊張が和らげば急速に剥がれ落ちることもあり、原油は短期で乱高下しやすい
- なぜ今回は金が下がったのか:「有事の金」という言葉のとおり、地政学リスクでは金も買われやすい。ただ今回はCPI高水準で金利が上がり、利息を生まない金には逆風となった。地政学より金利の影響が勝った一例で、相場は単純な公式では動かない
- 家計目線:原油高はガソリン・電気代に時間差で効いてくる。円安が重なるとなお重い。ただ「不安が生む割増し分」は剥がれることもあるので、一時的な上昇だけで家計の長期計画を慌てて見直す必要はないと私は考えている
正直、「米CPIが3年ぶりの高水準」という見出しだけを見て、昨日はちょっとドキッとしました。けれど中身をよく見ると、エネルギーが総合を押し上げた一方で、物価の基調を映すコアの前月比はむしろ予想を下回っている。派手な見出しと、地味な中身が逆を向いているんですね。こういう時こそ、ヘッドラインの数字だけで「インフレ再燃だ」と決めつけないことが大事だなと、あらためて思いました。
そこに中東の緊張が重なって、原油は上昇、金は逆に大きく下落。ふだん「有事に買われる」はずの金が下げたのは、私自身ちょっと意外でした。地政学より金利の方が勝ったということですが、相場って本当に、教科書どおりには動かないものですね。だからこそ私は、原油や金の一日の動きで何かを判断しようとは思いません。剥がれるかもしれない「不安の割増し分」に、長期のお金を賭けたくないからです。
そして来週は日銀、続けてFOMCと、中央銀行のイベントが連続します。荒れる材料はそろっていますが、だからといって私が今やることは特にありません。積立は淡々と続け、生活防衛資金を数カ月分は現金で確保しておく。原油高と円安で家計が重く感じる時こそ、この現金のクッションが効いてきます。中東のニュースも来週のイベントも、まずは落ち着いて眺める。私はそれくらいの距離感で、この一週間を過ごすつもりです。
📊 6/10(水)の総括
本記事の数値・統計・要人発言は、以下の公式・準公式ソースを2つ以上で照合して作成しています。
- 日本経済新聞(電子版)
- Bloomberg
- 日本取引所グループ(JPX)
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト
- 米労働統計局(BLS)— 米5月CPI発表
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


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