怪しい投資の話の見分け方【「必ず儲かる」は隠されていません。いちばん多い入口に、そのまま書いてあります】

お金バイバイマンのじっくり解説「怪しい投資の話の見分け方」保存版のアイキャッチ画像。SNS型投資詐欺のいちばん多い入口はバナー等広告で、その広告に「必ずもうかる」「元本保証」の文言が含まれていたことを警察庁が公表している。効いているのは言葉ではなく、周りが儲かって見える場のほう。入口で機械的に確かめられる線は金融商品取引業の登録の有無だけだが、金融庁自身がその線の限界も書いている、という内容を解説している。
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🔍 怪しい投資の話の見分け方【「必ず儲かる」は隠されていません。いちばん多い入口に、そのまま書いてあります】

「元本保証」「必ず儲かる」「高利回り」。怪しい投資の話を見分けるコツとして、だいたいどの記事にも同じ言葉が並びます。私も、そういうものだと思っていました。

ところが警察庁の資料を読んで、前提が違っていたことに気づきました。その言葉は、隠されていませんでした。いちばん多い入口である広告に、そのまま書いてあります。それでもその入口から、2025年だけで3,785件の被害が生まれています。ならば効いているのは言葉ではありません。この記事では、そこから言葉の代わりに何を見ればいいのかを、公的な資料と、私自身に来た1件を頼りに辿ります。

📢 いちばん多い入口は「人」ではなく広告 👥 被害の中心は40代から60代 📋 機械的に引ける線は1本だけ ⚖️ 2026年8月12日に法律が変わりました 🆘「取り戻せます」は二回目の入口

この記事は2026年8月時点で確認できた法令・公表統計・公的機関の注意喚起にもとづいています。特定の業者・商品・人物について「詐欺である」と判断するものではありませんし、個別の投資判断について助言するものでもありません。書いてあるのは、入口で自分の手で確かめられる手順と、公的な相談先です。窓口の受付時間などは変わることがありますので、実際に連絡するときは各機関の公式ページでご確認ください。記事に出てくる言葉のいくつかは経済用語辞典でも説明しています。

🔍 どの記事も、だいたい同じことを言っています

「怪しい投資の話 見分け方」で調べると、出てくる説明はよく似ています。元本保証をうたう。必ず儲かると言う。利回りが高すぎる。未公開株をすすめてくる。SNSで知り合った相手だ。並べ方に多少の差はあっても、だいたいこの範囲です。

公的機関も、似たリストを出しています。たとえば金融庁は、実際にあった偽広告に書かれていた文言の例を公開しています。

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こうして並べると、たしかに分かりやすい。読んでいるこちらは「さすがにこれには引っかからないだろう」と思います。私もそう思いました。

ところが、そのあとで警察庁の統計を読んで、順番が逆だったことに気づきました。この言葉は、詐欺の側が隠している合図ではありません。いちばん多い入口に、最初から置かれています。

🚨 その言葉は、隠されていませんでした

警察庁が2026年5月22日に公表した、2025年(令和7年)のSNS型投資詐欺の確定値を見ます。認知件数は9,523件、被害額は1,288.0億円。前の年より件数で48.5%、金額で47.9%増えました。

この資料には、被害者が最初にどこで相手と接触したかの内訳が載っています。ここが意外でした。

📢 図解① 最初に接触した手段(2025年・SNS型投資詐欺 9,523件)
バナー等広告 3,785件
39.7%
ダイレクトメッセージ 3,549件
37.3%
投稿 1,279件
13.4%
その他 910件
9.6%

※ 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日公表)。割合は同資料に記載のもの。いちばん多い項目を最大の長さとして、帯の長さを割合に比例させています(帯の長さは100%を基準にしたものではありません)。

いちばん多い入口は、人からのメッセージではなく「広告」でした。そして同じ資料の特集ページに、その広告に何が書いてあったかが書かれています。

「認知件数をみると、バナー等広告が令和7年3月以降増加傾向にあり、その内容は、著名人の画像や動画を無断で使用した広告が確認されており、「必ずもうかる」、「元本保証」などの文言を含む広告も見られた。

つまり、こういうことになります。「必ず儲かる」も「元本保証」も、いちばん多い入口に、そのまま書いてある。隠されてもいないし、巧妙に言い換えられてもいない。それでも、その入口から入った被害が2025年だけで3,785件ありました。(このうち何件がその文言を含む広告だったかまでは、公表されていません。)

しかもこの入口は、いま急に太くなっています。2026年上半期(1月から6月)の暫定値では、SNS型投資詐欺の認知件数は5,893件で前年の同じ時期の2倍を超え(前年同期比 +105.1%)、被害額は797.9億円(同 +126.0%)。接触手段では広告が2,330件(+165.1%)、投稿が1,457件(+397.3%)と、人からのメッセージ(1,698件・+24.2%)よりずっと速く伸びています。

⚠️ 数字を並べるときの注意を、先に書いておきます。2025年までは「特殊詐欺」と「SNS型投資・ロマンス詐欺」は別々に数えられていました。2026年から、SNS型投資詐欺は特殊詐欺の一つの手口として数えられるようになりました。年をまたいで「特殊詐欺は何件」と並べても比較になりません。この記事では、SNS型投資詐欺という手口の数字だけを見ていきます。また2025年は確定値、2026年上半期は暫定値です。

さて、ここで手が止まりました。言葉が見えているのに入ってしまうのなら、言葉を見張るチェックリストは、いったい何を守っているのでしょうか。

🎭 効いていたのは、言葉ではなく「場」のほうでした

金融庁、国民生活センター、日本証券業協会。この3つが、それぞれ別のページで、ほとんど同じ流れを書いています。広告やメッセージは入口にすぎず、そのあとに必ず同じ場所へ連れていかれるという流れです。

🎭 図解② 金融庁・国民生活センター・日本証券業協会が共通して書いている流れ
  • 📢
    広告・メッセージ・投稿で声がかかる
    著名人の画像や動画が無断で使われていることがあります。ここで「必ずもうかる」「元本保証」が出てきます。
  • 🚪
    1対1、またはグループのやり取りへ移される
    金融庁の言葉では「多くの場合に犯人グループと個人間のやり取りに持ち込もうとしてきます」。
  • 👥
    周りが儲かっているように見える
    ここが本題です。金融庁は「グループ内では、犯人たちが複数のアカウントを使って投資が成功しているそぶりを見せて、参加者が投資を行いたくなるように仕向けるケースもあります」と書いています。
  • 💸
    最初は増えて見える。出そうとすると出せない
    「しばらくは利益が出たように装うこともあります」。そして出金しようとすると「高額な手数料や税金の支払いといった名目」で、さらに入金を求められます。

※ 引用は金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」より。国民生活センター「SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル」(2024年1月24日公表)、日本証券業協会の注意喚起も同じ4段階を示しています。

3つ目に注目してください。その「儲かっている参加者」の中に、犯人が複数のアカウントを使って演じているものが混じっていることがあります。これは推測ではありません。金融庁が「犯人たちが複数のアカウントを使って投資が成功しているそぶりを見せて、参加者が投資を行いたくなるように仕向けるケースもあります」と書いています。どれが演技で、どれが本物の参加者なのかは、中にいる側からは見分けられません。

ここで、最初の疑問に答えが出ます。チェックリストは、言葉を見張る道具です。ところが人を動かしていたのは、言葉ではなく場のほうでした。「必ず儲かる」という文字を疑うのは簡単ですが、目の前で何人もが利益を報告している空気を疑うのは、それよりずっと難しい。チェックリストは、場を見張るようにはできていません。

そして相手は、それを仕事としてやっています。警察庁の資料には、捜査で分かった犯罪グループの実態として、こう書かれています。

1日の終了後は、数時間にわたり全体ミーティングを実施。架け子のセリフを録音したものなども用い検証。」「高額の資産を有する被害者であれば、手練手管にたけたエース級の架け子が選ばれる。

「架け子」は電話をかける役のことです。毎日、数時間かけて話し方を検証している集団ということになります。個人の注意力が足りなかった、という話にするのは無理があります。

👥 被害の中心は、40代から60代です

この手の話は「お年寄りが騙される」という枠で語られがちです。数字はそう言っていません。

👥 図解③ 年代別の認知件数(2026年上半期・SNS型投資詐欺)
年代認知件数前年同期比
10代以下11件
20代271件
30代562件
40代1,003件
50代1,605件+115.1%
60代1,518件+149.3%
70代739件
80代以上182件
50代と60代の合計3,123件(認知件数の53.0%)

※ 警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年7月31日公表・2026年8月5日訂正版。広報資料の日付は7月30日)。法人被害を除いた集計のため、年代別を合計すると5,891件になります(この合計は当社で算出したものです)。前年同期比は警察庁が明記している50代・60代のみ記載しました。53.0%は同資料に記載の割合です。

いちばん多いのは50代、次が60代。この2つの世代だけで全体の半分を超えます。40代を足せば、さらに増えます。働いていて、ある程度まとまったお金を持っている世代が、いま中心にいます。さきほど引いた警察庁の資料にも、高額の資産を持つ相手にはエース級が当てられると書かれていました。

被害の1件あたりの金額も小さくありません。2026年上半期のSNS型投資詐欺は、実際にお金を取られた1件あたり1,362.5万円でした。

この記事を読んでいる方の多くは、たぶんこの年代に入ります。私にとっても、他人事の数字ではありません。「自分の親が心配だ」という話として読み始めたのなら、いったんそこは置いて読んでください。数字の上では、いま狙われているのはこちら側です。

📋 機械的に引ける線は、1本だけありました

相手の話が本当かどうかは、こちらには分かりません。相手の人柄も、実績のスクリーンショットも、グループの盛り上がりも、全部そう見せることができます。けれど1つだけ、相手の様子とまったく関係なく、こちらの手元で確かめられることがあります。登録があるかどうかです。

法律は、とても短い一文でこれを決めています。

金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。」(金融商品取引法 第29条)

暗号資産交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない。」(資金決済に関する法律 第63条の2)

そして、その登録を受けている先は、金融庁が一覧にして公開しています。数を見て、少し驚きました。

📋 図解④ 登録されている事業者の数(2026年6月30日現在)
区分全事業者数
金融商品取引業者1,954者
暗号資産交換業者26者

※ 金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」に記載の全業者数。更新の基準日は業態ごとに異なります。銀行等は「登録金融機関」、仲介する会社は「金融商品仲介業者」として、別の一覧に載っています。なお暗号資産については、2026年7月23日に公布された改正法で、規制が資金決済法から金融商品取引法へ移ることが決まっています(2027年7月22日までに施行予定)。

投資の話を持ちかけてくる相手は無数にいますが、金融商品取引業の登録を受けている会社は1,954者しかありません。暗号資産にいたっては26。「この相手は、その一覧に載っているか」。確かめるのは、これだけです。

ただし、探す場所には注意が要ります。銀行などは「登録金融機関」、仲介する会社は「金融商品仲介業者」と、別の区分の別のファイルに載っています。金融商品取引業者の一覧に銀行の名前が無いのは当たり前で、無登録という意味ではありません。名前が見つからないときは、業態を変えて探してみてください。

ちなみに、その一覧に載っている会社に口座を開くところから始める手順は証券口座はどこで開けばいい?に、制度そのものの入口は新NISA、結局なにから始めればいい?にまとめてあります。正規の入口は、あきれるほど地味です。申し込んで、待って、あとは自分で選ぶだけで、どこも盛り上がってはいません。

手順はこうなります。

🔎 図解⑤ 登録を自分で確かめる手順
  • 1️⃣
    金融庁のサイトを、自分で開く
    「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」(金融庁)を開き、業態ごとのファイルを開いて社名で検索します。金融庁自身が、ファイルを開いて「Ctrl」キーと「F」キーの検索機能を使うよう案内しています。名前を打ち込んで探せる「金融事業者一括検索」も別に用意されています。
  • 2️⃣
    相手から送られてきたリンクや画像は使わない
    登録番号のスクリーンショットも、確認ページへのリンクも、相手が用意したものです。検索するのは自分で開いたページで
  • 3️⃣
    名前があったら、公式サイトの代表番号に自分からかけ直す
    名前が一覧にあることと、いま話している相手がその会社であることは、別の話です。実在の会社になりすます手口があるからです。相手が教えてきた番号ではなく、自分で開いた公式サイトの番号にかけます。

※ 登録の確認は最低ラインで、確認できても安全の保証にはなりません。金融庁も「登録等を受けていたとしても、その者の全ての行為を金融庁が認めたものではありません」と書いています。

ちなみに金融庁は、警告書を出した無登録の業者の名前も公表しています。2026年7月22日の更新時点で、国内の業者が714件、海外に所在する業者が432件。ただしこのリストの使い方には、大事な注意があります。

※ 金融庁はこの件数を公表していません。公開されている一覧のファイルを当社が数えたものです(2026年7月22日更新時点)。

⚠️ その線の限界を、金融庁が自分で書いています

ここを飛ばすと、この記事はかえって危ない読み物になります。登録の確認は万能ではありません。しかもそれを言っているのは私ではなく、金融庁自身です。3つ、そのまま引きます。

1つめ。「無登録リストに載っていない」は、安全の意味ではありません

「掲載されている無登録業者は、警告書の発出を行った時点で無登録営業を行っていることが確認できた者に限られています。そのため、掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ますのでご注意ください。

つまりあのリストは、捕まえた分の記録であって、危険な相手の全部ではありません。確かめるべきは「無登録リストに載っていないこと」ではなく、「登録の一覧に載っていること」です。向きが逆になると、意味がまるごと反転します。

2つめ。「登録されている」も、お墨付きではありません

「イベント主催者が金融庁の金融商品取引業等の登録などを受けた者である場合もありますが、金融庁の登録等を受けていたとしても、その者の全ての行為を金融庁が認めたものではありませんのでご注意ください!

「金融庁公認」「金融庁認可」「金融庁のお墨付き」といった言い方で勧誘してくる例があるため、金融庁がわざわざ注意を出しています。登録は最低ラインであって、合格証ではありません。

3つめ。実在する会社に、なりすます手口があります

「このサービスで検索されない事業者は、金融庁、各財務局がデータ更新処理後に新規登録を行ったか、無登録業者である可能性があります。実在の事業者を騙った詐欺もありますので、ご注意ください。」(金融庁「金融事業者一括検索」利用上の注意)

だから、確かめる問いは「この名前が一覧にあるか」で終わりません。「いま自分が話している相手が、その会社の人か」まで行って、ようやく確かめたことになります。そしてそれを確かめる方法は、ひとつしかありません。公式サイトに載っている代表番号に、自分からかけ直す。相手が教えてきた番号ではなく。

⚠️ ここは正直に書きます。登録を確認しても、絶対に安全にはなりません。確認して分かるのは「その名前の会社が、登録されているかどうか」だけです。目の前の相手がその会社の人かどうかは、かけ直すまで分かりません。それでも私はこの1本の線に意味があると思っています。相手の話しぶりや、周りの盛り上がりと、まったく関係なく引ける線だからです。雰囲気に流されている最中でも、この確認だけは同じ手順でできます。

⚖️ この登録をめぐる法律は、2026年8月12日に変わっていました

調べているうちに、思いがけないものに行き当たりました。登録を受けずに投資の商売をした場合の罰が、2026年8月12日に重くなっていました。この記事を書いている、ほんの数日前のことです。

法律の条文そのものを開いて確かめました。変わったのは、罰の重さだけではありませんでした。条文の置き場所が引っ越しています。

⚖️ 図解⑥ 無登録で投資の商売をした場合の罰(2026年8月12日の改正の前後)
 2026年8月11日まで2026年8月12日から
条文の場所 金融商品取引法 197条の2 第10号の4 同 197条 第1項 第4号の3
個人の罰 5年以下の拘禁刑
または500万円以下の罰金
10年以下の拘禁刑
または1,000万円以下の罰金
法人の罰金 5億円以下 7億円以下

※ いずれも拘禁刑と罰金を併せて科すことができます。改正法は令和8年法律第64号(2026年7月23日公布・この部分は8月12日施行)。法人の罰金は同法207条1項1号。条文はe-Gov法令検索の現行施行版で確認しました。この記事を書いている時点では、改正前の「5年以下・500万円以下」と書かれた解説がまだ見つかります。

個人の罰が倍になったこと以上に、私が気になったのは引っ越し先です。移った先の197条1項には、ほかにどんな行為が並んでいるのか。開いてみると、こうでした。

197条1項5号:「第百五十七条、第百五十八条又は第百五十九条の規定に違反したとき(当該違反が商品関連市場デリバティブ取引のみに係るものである場合を除く。)
(157条は不正の手段を用いること、158条は風説の流布や偽計、159条は相場操縦を指します)

相場を人為的に動かす行為や、嘘の噂を流して取引させる行為。無登録で投資の営業をすることが、その並びに置かれたということになります。金融商品取引法の中で、いちばん重い罰が定められている条です。

この改正を、読者が直接使う場面はありません。それでも私がこれを書いておきたかったのは、「登録があるかどうか」という線が、法律の側からも引き直されたばかりだと分かるからです。ここまで書いてきた1本の線は、思いつきの目安ではありません。

❌ 逆に、よく信じられている3つは、実際とは食い違います

調べる過程で、自分が漠然と正しいと思っていたことがいくつも崩れました。とくにこの3つは、信じていると判断を誤ります。

❌ 図解⑦ よく信じられているが、事実と違うこと
よく聞く話実際
「頼んでいないのに来る勧誘は、法律で禁止されている」 そういうルールはありますが(金商法38条4号)、対象は店頭FXなど一部のデリバティブ取引に限られています(施行令16条の4第1項)。株や投資信託の勧誘電話そのものは、これに当たりません。「向こうから連絡してきた」は、見分ける線になりません。
「あとでクーリング・オフすればいい」 投資には基本的にクーリング・オフがありません。金商法に規定はありますが(37条の6)、対象は投資顧問契約だけで、期間は10日(施行令16条の3)。株や投資信託を買った契約は対象外です。「あとで取り消せる」前提で入金してはいけません。
「1,000万円までは制度で守られている」 預金保険も投資者保護基金も、金融機関が破綻したときの仕組みです(投資者保護基金はさらに、その証券会社が分別管理を怠っていた場合に限られます)。基金自身が「不正行為一般を補償するものではありません」と書いています。自分で振り込んでしまったお金には、どちらも効きません。

※ 条文はe-Gov法令検索の現行施行版で確認しました。補償の範囲は日本投資者保護基金の公式サイトによります。

「必ず儲かる」についても、正確に書いておきます。「必ず儲かると言うのは法律違反」と単純に言うことはできません。そう言って勧誘してはいけない、と法律が命じている相手は「金融商品取引業者等」、つまり登録を受けた業者です(金商法38条2号)。平気でそれを言ってくる相手は、そもそもその規制の外側にいる可能性がある、というのが正確な受け止め方になります。

「元本保証」も同じで、投資の話で元本保証をうたって不特定かつ多数の人からお金を集めることが出資法1条で禁じられています。銀行預金のように、別の法律にもとづいて守られている仕組みとは話が別です。言葉そのものが違法なのではなく、誰が、どういう形で言っているかで変わります。

🙋 私のところに来たのは、広告ではありませんでした

2026年の7月に、私が書いている記事のコメント欄に、投資の勧誘が来ました。正直に書くと、途中まで勧誘だと分かりませんでした。

最初に来たのは、記事の中身を正確に踏まえた質問でした。その回に書いた予想の数字の動きを引いたうえで、市場の脆さについてどう思うか、普段どうやって振り回されないようにしているか、と聞いてくる。読んでいなければ書けない質問です。私は普通に返信しました。

2通目で、相手も投資をしていると明かしてきます。ここまでは、熱心な読者と見分けがつきません。変わったのは3通目でした。こちらの内面に踏み込む質問が来て、自分の辛かった時期の話が続いて、最後に励まされる。そして「チャンスは準備ができてる人に来るもんだよ」という言い回しが出てきました。

私はそこで、こう返して閉じました。

「僕にはチャンスは必要なくて、来ても見送ります。笑」

そのあと、こちらの考え方をひとしきり褒める文章が来て、別のメッセージアプリのIDが提示されました。そこで確定です。返信もいいねもせず、コメントを消して、運営に通報しました。コメントを消したのは、放っておくと他の読者がそのIDに連絡してしまうからです。

この経験から私が言えることは、「見抜いた」ではありません。その逆です。入口の1通目と2通目は、本当に区別がつきませんでした。もし私が投資について迷っていたり、誰かに話を聞いてほしい時期だったら、3通目の励ましは、たぶん違う読み方をしていたと思います。

ひとつ補足しておきます。この「雑談から入って、あとからお金の話になる」型も、公的に確認されている型のひとつです。警察庁はSNS型投資詐欺を「交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ」お金をだまし取る詐欺と定義していますし、国民生活センターも「恋話(コイバナ)がいつの間にかもうけ話に」という題で注意を出しています。ただし、いちばん多い入口ではありません。件数でいえば、この記事の最初に見たとおり広告のほうがずっと多い。私に来たのは、たまたまこちらの型だったということです。

それから、返信の切り上げ方を「こう返しましょう」と勧める気はありません。本当に効いたのは、あの一言ではなく、そのあと何が来ても返信しなかったことのほうだと思っています。

🆘 もしお金を入れてしまったら

ここは、いちばん慎重に書きます。先に、大事なことを書きます。

🚨 「お金を取り戻せます」という連絡が来たら、それが二回目の入口です。日本証券業協会は「被害回復型」を投資詐欺の正式な手口の一類型として挙げていて、「弁護士等を騙ったケースも多く見受けられます」と書いています。日本投資者保護基金も、自分の名前をかたられていることを公表したうえで「お客様から、保証金などの名目で金銭をお預かりすることは一切ありません」と明記しています。

そのうえで、公的に用意されている回復の道について、正確に書きます。振り込め詐欺救済法にもとづく被害回復分配金という仕組みがあります。ただし条件があります。振り込んだ先の口座にお金が残っていれば、その残高を原資として、被害額の全部または一部の支払いを受けられる可能性がある、という仕組みです。国民生活センターも、SNSをきっかけとした投資の被害について「いったん振込してしまうと、被害回復が困難です」と題して注意を出しています。そして振込みが使われていない場合、たとえば暗号資産で送ってしまった場合は、この法律の対象になりません。

だからこそ、速さがすべてです。気づいたらすぐ、警察と、振り込んだ先の金融機関に連絡する。口座にお金が残っているうちに止められるかどうかが、この仕組みが働くかどうかを分けます。

🆘 図解⑧ 相談できるところ(2026年8月時点)
窓口連絡先受付と、使える場面
すぐに警察へ
(お金を入れてしまった場合)
110番
/相談は #9110
あわせて振込先の金融機関にも連絡を。#9110は原則、平日8時30分から17時15分(都道府県により異なります。時間外は当直または音声案内)。
詐欺的な投資に関する相談ダイヤル(金融庁) 0570-050588
IP電話は 03-6206-6066
平日10時から17時(電話)。ウェブでの受付は24時間。投資詐欺についての相談窓口です。
消費者ホットライン 188 近くの消費生活センターにつながります。相談は無料ですが、通話料は自己負担です(通話定額プランの対象外)。
FINMAC
証券・金融商品あっせん相談センター
0120-64-5005 月曜から金曜の9時から17時(祝日・年末年始を除く)。登録を受けた業者との間のトラブルを扱う仕組みです。無登録の相手には使えません。

※ 各機関の公式ページで2026年8月15日に確認した内容です。受付時間などは変わることがあります。

最後にひとつ。ここまで書いてきた線は「相手が登録されているか」でした。これとは別に、相手ではなく、お金の行き先のほうを見る一文があります。国民生活センターは「投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺です。振り込まないでください」と、はっきり書いています。入金ボタンの直前に思い出せる一文として、覚えておく価値があると思っています。

📝 まとめ

  • 「必ず儲かる」「元本保証」は隠されていません。いちばん多い入口である広告に、そのまま書いてあります(2025年・最初の接触が広告だった被害が39.7%)。
  • それでも人が入っていくのは、効いているのが言葉ではなく「周りが儲かっているように見える場」だから。その「儲かっている参加者」に犯人のアカウントが混じっていることがあるのは、金融庁が書いています。
  • チェックリストは言葉を見張る道具で、場を見張るようにはできていません。だから、場と関係なく引ける線を1本だけ持っておく。登録があるかどうかです。
  • 確かめる向きに注意。「無登録リストに載っていないこと」ではなく「登録の一覧に載っていること」を確かめます。金融庁自身が「掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ます」と書いています。
  • ただし登録の確認は合格証ではありません。「登録等を受けていたとしても、その者の全ての行為を金融庁が認めたものではありません」。実在の会社になりすます手口もあります。だから最後は公式サイトの番号に自分からかけ直す
  • 被害の中心は40代から60代。2026年上半期は50代と60代で全体の53.0%でした。「高齢の親の心配」で終わる話ではありません。
  • 2026年8月12日から、無登録で投資の商売をした場合の罰が10年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金に引き上げられました(法人は7億円以下)。条文も、相場操縦などが並ぶ197条へ移りました。
  • 「取り戻せます」は二回目の入口です。公的な回復の道は振り込め詐欺救済法による被害回復分配金で、しかも振込先に残高が残っている範囲。気づいたらすぐ警察と振込先の金融機関へ。
💬 お金バイバイマンの一言

見分けようとすると、相手の話の中身を読み込むことになります。読み込むほど、相手のつくった場所の中に長くいることになる。だから私は、見分けるのをあきらめました。かわりに、話の中身とまったく関係のないところに1本だけ線を引いて、そこだけ自分の手で確かめる。その線は、こちらが冷静かどうかに左右されません。冷静でいられるとは限らないから、そういう線にしておくのだと思っています。

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📚 この記事は、以下の法令および一次資料で照合して作成しています

金融商品取引法(29条/37条の6/38条/197条/207条)、金融商品取引法施行令(16条の3/16条の4)、資金決済に関する法律(63条の2)、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(1条/8条)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)/警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日公表)、同「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年7月31日公表・2026年8月5日訂正)/金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」「金融事業者一括検索」「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」「金融庁の名を利用した投資勧誘等にご注意ください!」「無登録業者との取引は要注意!!」/国民生活センター「儲け話に関するトラブルにご注意!」「SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル」ほか/日本証券業協会「株や社債をかたった投資詐欺」/日本投資者保護基金/預金保険機構「振り込め詐欺にあったら」/消費者庁「消費者ホットライン」/証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)。条文はe-Gov法令検索の現行施行版で確認しました。

【免責事項】

本記事は2026年8月時点で公表されている法令・統計・公的機関の注意喚起にもとづく情報提供であり、特定の金融商品の推奨や投資判断の助言を目的とするものではありません。また、特定の事業者・団体・個人について違法行為や詐欺の事実を指摘するものでもありません。制度・罰則・統計・相談窓口の内容は変更されることがあります。実際に登録の確認や相談を行う際は、必ず各公的機関の最新の公表内容をご確認ください。投資の最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。本記事の情報にもとづく行動によって生じた損害について、当サイトは責任を負いかねます。

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「お金バイバイマンの経済ニュース」運営者。

月曜から土曜の毎朝、日経平均・米国株・為替などマーケットの動きを「なぜ動いたのか」まで追いかけて、図解つきでやさしく解説しています。"今日の経済用語"コーナーでは、ニュースに出てくる言葉を1日1語ずつ深掘り中。気づけば用語辞典は70語を超えて、いまも増え続けています。

じつは昔、SNSのキラキラした投資情報に憧れて、情報商材を買ってしまったことがあります。遠回りの末にたどり着いたのが「長期・分散・積立でコツコツ」。相場が荒れた日も、合言葉は「今日も何もしません」です。

朝の意見コラム『今朝の経済、私はこう見る』は、noteで平日の毎朝、連載しています。

好きなものは、お酒・サウナ・食べ歩き。経済ニュースも、それくらい気軽な習慣にしてもらえたら嬉しいです📈

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