アメリカの7月の雇用は、増えるどころか2万3,000人減っていました|予想は8万人台の増加でした。それでもS&P500は終値ベースの史上最高値、9月の「利上げ」観測が後退したからです/日経は週間+1,244円で2週ぶり反発、週の中で動いた幅は約3,600円(8/3〜8/7のマーケット振り返り)

2026年8月7日夜に発表されたアメリカの7月の雇用統計を伝える、お金バイバイマン経済ニュースの土曜版WEEKLY RECAPアイキャッチ画像。非農業部門の雇用者数は2万3,000人の減少で、8万人台の増加という事前予想を大きく下回った。5月分と6月分もあわせて10万3,000人ぶんが下方修正。それでも同じ夜のS&P500は7,757.64ポイントと、終値ベースの史上最高値を更新した。
WEEKLY RECAP · 2026.08.03(月)〜08.07(金)

💼 アメリカの7月の雇用は、増えるどころか2万3,000人減っていました——予想は8万人台の増加でした|それでもS&P500は終値ベースの史上最高値。9月の「利上げ」観測が後退したからです/日経は週間+1,244円で2週ぶり反発、週の中で動いた幅は約3,600円ありました

📊 週間パフォーマンス · 💴 為替金利商品 / 🎯 今週の3大イベント総括(8/7夜の米雇用はまさかの減少 → それでもS&P500は終値で史上最高値 → 7/31の協調介入を8/3に公式確認、4〜6月期の公表で円買い介入の日付別の内訳が判明) / 📈 日経12営業日チャート / 🕊 熊本地震と台風13号のいま / 今週の経済用語「夏枯れ相場」 / 📅 来週は8/11(火)が山の日で休場、山場は8/12(水)の米CPI

📉 米雇用 −2.3万人 📈 S&P500 終値最高値 🇯🇵 日経 週間+1,244円 ⏭️ 来週は米CPI

おはようございます、お金バイバイマンです。土曜日は1週間のマーケットを振り返るWEEKLY RECAPの日です。今週の東京市場は8/3(月)〜8/7(金)の5営業日でした。まず、週の合計から。日経平均は+1,244.69円(+1.93%)で2週ぶりの反発です。数字だけなら穏やかな上げに見えます。ところが中身は、月曜に一時6万2,703円まで下げ、水曜に6万6,302円まで駆け上がっています。その差は約3,600円。1週間の合計の3倍近い幅を、この5日間で行ったり来たりしていました。

そして週の最後、金曜の夜に大きな数字が出ました。アメリカの7月の雇用統計が、8万人台の増加という予想に対して、2万3,000人の「減少」。それなのに、その夜のニューヨーク市場ではS&P500が終値ベースの史上最高値を更新しています。「悪い数字が出たのに株が上がる」という、いっけん逆さまに見える動きです。なぜそうなるのかを、順番に見ていきます。

📊 今週の週間パフォーマンス一覧(前週末7/31金→今週末8/7金)

日経平均
+1.93%
+1,244.69円(65,606.71円)
TOPIX
+1.79%
+71.63pt(4,074.93pt)
NYダウ
+2.96%
+1,551.90ドル(54,036.93ドル)
S&P500
+3.58%
+267.92pt(7,757.64pt)
NASDAQ
+5.19%
+1,316.77pt(26,690.62pt)
ドル円
円安 0.23%
157.76円(8/7 NY終値)

日米そろって上がった週でした。先週は日本株がわずかにマイナス、米国株がプラス。今週は日本株もプラスに転じて向きはそろいましたが、上げ幅は日米で開いたままです。そして、米国の3指数を並べると、上げ幅の順番にも意味があります。いちばん上げたのはナスダックの+5.19%、次がS&P500の+3.58%、ダウが+2.96%。ハイテク株の比重が大きい指数ほど上げているという並びです。ただし、この上げは金曜の雇用統計だけでついたものではありません。ナスダックの週間+1,316.77ポイントのうち、金曜1日分は+342.26ポイント=4分の1ほど。残りは週の前半についた分です。週末の雇用統計を受けた金利低下は、そこにもうひと押しした形になります。

いっぽう為替は、1週間の合計で見るとほとんど動いていません。先週が1週間で6円以上の円高だったことを思えば、静かな週です。ただし週の中では3円以上を往復していて、そのようすはあとの為替のところで書きます。

🇯🇵 今週の日本株(7/31金→8/7金・週間集計)

日経平均株価
65,606.71
▲ 週間 +1,244.69円(+1.93%)2週ぶり反発
8/7終値 −76.55円(−0.12%)小幅続落
TOPIX
4,074.93
▲ 週間 +71.63pt(+1.79%)
8/7終値 +19.08pt(+0.47%)
日本国債10年利回り
2.773%
財務省の確定値は8/6分まで
8/7分は8/10(月)午前に公表予定

日経平均の一週間を日ごとに追うと、最初に大きく下げ、真ん中で2日上げ、最後の2日でまた下げるという形でした。月曜8/3は−607.12円で3日ぶりの反落。この日は日米の協調介入が当局に公式に認められた日で、円高が意識されました。ザラ場では6万2,703.47円まで下げて、これが今週の最安値です。火曜8/4は+202.63円と小幅反発。この日の午後2時にトヨタが通期の見通しを上方修正しています。そして水曜8/5は+2,342.91円(+3.66%)の急伸。中東情勢をめぐって「合意が近い」との見方が広がり、原油が急落して、それが買い安心につながりました。ザラ場高値は6万6,302.52円で、これが今週の高値です。ところが、この「合意が近い」という期待は木曜8/6に剥落し、原油は買い戻されます木曜8/6の−617.18円は、水曜の急伸の裏返しだった面が大きいと思います。そして金曜8/7は−76.55円。2日続けて下げて週を終えています。

金曜8/7の中身も、終値の−76.55円からは想像しにくいものでした。始値は6万5,746.13円と前日比プラスで始まりながら、安値は6万4,651.49円=前日終値から一時1,031円あまりの下げ。前日8/6の取引終了ごろに、3社の決算が重なっていたのが効きました。ソフトバンクグループが減益、レーザーテックは今期の純利益の見通し900億円が市場予想(QUICKコンセンサス、968億円)に届かず一時14%安富士フイルムホールディングスは4〜6月期が3割超の減益で一時18%安です。

この日いちばん指数を押し下げたのは、決算を出していないアドバンテストでした(1株の値段が高く、指数への影響がとくに大きい銘柄です)。そこにソフトバンクグループ・東京エレクトロン・レーザーテック・富士フイルムが続きます。ただし富士フイルムだけは、AI・半導体とは関係のない、その会社固有の事情です。半導体まわりの下げに、それとは無関係な銘柄の下げが重なった日でした。さらにこの日の朝、8時30分に発表された6月の家計調査で実質消費支出が前年同月比3.3%減(7カ月連続のマイナス)だったことも重しになりました。ところが後場にフジクラが決算を好感されて急伸し、そこから下げ幅を消しにいって、最後は76円安まで戻しました(株探・日本経済新聞)。1日のうちに1,000円下げて、900円以上戻している——「小幅続落」という4文字には、そういう中身が詰まっています。

日本国債10年利回りは、財務省が公表している確定値が8/6分の2.773%までです。確定値は翌営業日の午前に出るしくみなので、8/7分は月曜8/10の午前に公表されます。ここは毎週おなじ制約なので、この記事では日付をはっきり書いたうえで最新の確定値を載せています。

NIKKEI 225 · 直近12営業日(7/23→8/7)
日経平均 直近12営業日チャート 2026/7/23〜2026/8/7 7月23日の6万6,423円を期間高値に、7月28日から29日にかけて急落して7月29日の6万1,434円が期間最安値。その後7月31日に2,494円高、8月5日に2,342円高と2度の急伸をはさんで戻し、8月7日は76円安の6万5,607円で小幅続落。週間では1,244円高と2週ぶりに反発したチャート。 67,000 66,000 65,000 64,000 63,000 62,000 61,000 7/23 66,423 期間高値 7/29 61,434 最安値 8/7 65,607 小幅続落★ 7/23 7/27 7/29 7/31 8/4 8/7

※終値ベースで表記(土日・祝日は休場。この期間〔7/23→8/7〕に祝日の休場はありません)。期間(7/23→8/7)では、7/23の6万6,423円が期間高値、7/29の6万1,434円が期間最安値です。7/29を底に、7/31の2,494円高と8/5の2,342円高という2度の急伸をはさんで戻しました。各営業日の終値は日経平均の公式データで確認した確定値です。

🎯 今週の3大イベント総括

※★の数は、今週の相場へのインパクトの大きさです(私の主観です)。

★★★ ①金曜8/7の夜、アメリカの7月の雇用は「2万3,000人の減少」だった

今週の主役は、いちばん最後に来ました。日本時間8/7(金)の21時30分、アメリカの労働省が7月の雇用統計を発表します。注目される非農業部門の雇用者数は、事前の予想は+8万人台の増加でした(ダウ・ジョーンズ調査は+8.3万人、ブルームバーグ調査は+8.0万人。これより高い+9.5万人という予想もありました)。結果は−2万3,000人。増えるどころか、減っていました

さらに重いのが、過去分の数字が後から書き換えられたことです。5月は+12.9万人から+6.3万人へ、6月は+5.7万人から+2.0万人へ。2カ月あわせて10万3,000人ぶんが下方修正されました。昨日8/7の記事で「改定値」という言葉を取り上げたばかりだったのですが、その日の夜に、これほど大きな改定が実際に出てくるとは思いませんでした。

いっぽう失業率は4.2%から4.1%へ低下しています。ふつうなら良い数字です。ただ、ここは注意して読みたいところで、同時に労働参加率が61.5%から61.4%へ下がっています。失業率は「働きたいのに仕事がない人」の割合なので、仕事を探すこと自体をやめた人が増えると、雇用が良くなっていなくても数字は下がります。CNBCの解説も、今年だけで約140万人が労働市場から退出したことを挙げて、見た目ほど良くはないと指摘していました。

★★★ ②雇用が減ったのに、S&P500は史上最高値で引けた——「9月の利上げ」が遠のいたから

悪い数字が出たのに、その夜のニューヨーク市場は3指数そろって上昇し、S&P500は7,757.64ポイントと、終値ベースの史上最高値を更新しました。いっけん逆さまですが、理由ははっきりしています。

ここは毎回おさらいしておきたいところなのですが、いまのアメリカは「利下げを待っている局面」ではありません。政策金利(FF金利の誘導目標)は3.50〜3.75%で、直近の変更は2025年12月の利下げ。そこから8カ月据え置きが続いていて、市場が身構えていたのは次に「利上げ」があるかどうかのほうでした。実際、9月15〜16日のFOMCで利上げがあるとみる確率は、雇用統計の前まで約55%ありました(CME FedWatch・会合単体の数字)。

そこに雇用の減少です。利上げ確率は約40%へ低下し、据え置き予想が約60%と逆転しました(同・発表後)。金利が上がりにくくなるという見通しは、株式にとっては追い風です。米10年債利回りは4.69%から4.65%へ低下(米財務省の公表値)、ドル円は発表直後に一時156.68円まで円高に振れています。この日の上げ幅がナスダック>S&P500>ダウの順に大きかったのも、金利低下の恩恵を受けやすいハイテク株が買われたからです。

ただし、これで利上げの話が消えたわけではありません。確率はまだ4割残っています。失業率が4.1%まで下がったこと自体は「労働市場はまだ引き締まっている」とも読めるからです(①で書いたとおり、この低下は仕事探しをやめた人が増えたことによる面が大きいのですが、労働市場の強さの表れと受け取る参加者もいます)。来週の物価の数字しだいで、この4割はまた動きます。

★★ ③7/31の協調介入が公式に認められ、それとは別に「4月30日に6兆2,787億円」など円買い介入の日付ごとの内訳が明らかになった

先週末の7/31(金)のアメリカ時間に行われた日米の協調介入について、月曜8/3に日米の当局がそろって公式に認めました。日本側は財務省の「片山財務大臣談話」(令和8年8月3日)で、「今後、更なる協調介入を実施することも躊躇しない」と明記。アメリカ側はベッセント財務長官の別の声明で、「金曜日の協調的な為替措置は、無秩序な円の動きに対抗するものだった」と述べています。8/3の記事では「共同声明が出される方向」と書きましたが、実際に出たのは日米それぞれの単独の文書で、新たな共同声明は出ていません。翌8/4の記事で訂正しています。

そして金曜8/7の朝、財務省が四半期ごとの日次の介入実績(令和8年4〜6月期)を公表しました。ここで分けておきたいのですが、新しく分かったのは、合計の「金額」ではなく、どの日にいくら使ったのかという「内訳」のほうです。合計の11兆7,349億円は、すでに5月29日の月ごとの公表で出ていました(対象は4月28日〜5月27日)。ただしそのときは、どの日にいくら使ったのかまでは分かりませんでした。今回、それが並びました。4月30日に6兆2,787億円、5月4日に7,802億円、5月6日に4兆6,759億円のドル売り・円買いです(日ごとの金額は億円未満を四捨五入しているため、3日分をそのまま足すと11兆7,348億円になり、財務省が公表している合計とは1億円だけ合いません)。

なかでも4月30日の6兆2,787億円は、円買いの介入としては1日あたりで過去最大です(これまでの最大は2024年4月29日の5兆9,185億円)。
※円を売る側の介入も含めた全体では、2011年10月31日の8兆722億円(ドル買い・円売り)が最大で、4月30日は歴代2番目になります。

この4月30日は、5月2日の記事で「5.4兆円規模の円買い介入」と書いていた日でもあります。当時は日銀の当座預金の見通しから金額を推計するしかありませんでした。実際は、推計より9,000億円近く多かったことになります。3カ月かけて、ようやく答え合わせができました。

いっぽう7/31の協調介入そのものの金額は、まだ分かりません。財務省は月ごとの合計を8月28日(金)に公表する予定で(対象期間は7/30〜8/26)、日付ごとの内訳が出るのは11月ごろの7〜9月期の公表を待つことになります。なお、7月31日に公表された月次の実績では、6月29日〜7月29日の介入額は0円でした。

🇺🇸 今週の米国株(8/7金 NY終値・週間比較は7/31金起点)

NYダウ
54,036.93
▲ 週間 +2.96%(+1,551.90)
8/7終値 +151.83(+0.28%)
S&P500
7,757.64
▲ 週間 +3.58%(+267.92)
8/7終値 +47.68(+0.62%)終値ベース最高値
NASDAQ総合
26,690.62
▲ 週間 +5.19%(+1,316.77)
8/7終値 +342.26(+1.30%)

米国株は3指数そろって週間プラスで、CNBCによれば3指数とも4月以来の好パフォーマンスでした。ここで数字の読み方をひとつ整理しておきます。金曜8/7に終値ベースの史上最高値を更新したのは、S&P500だけです。NYダウは更新していません。ダウの終値の最高値は今週水曜8/5の5万4,349.12ドルで、8/3・8/4・8/5と3営業日続けて更新したあと、8/6に464ドル下げて途切れました。金曜の5万4,036.93ドルは、そこに312ドル届いていません。ナスダック総合も最高値ではありません。終値の最高値は6月2日の2万7,093.90ポイントで、金曜はそこに403ポイント届いていません。率にすると、ダウが0.6%、ナスダックが1.5%。週間の上げ幅がいちばん大きかった指数が、最高値からはいちばん遠い——ここは混ざりやすいので分けて書きました。

週の後半は、金利のほかにソフトウェア企業の決算も効いています。金曜はアトラシアンが約35%高、エアビーアンドビーが約17%高、クラウドフレアが5%超高と、決算が良かった銘柄が大きく買われました。半導体株のETFも週間で7%を超える反発です。金利が下がる見通しと、個別の決算の良さが同じ方向に重なったのが、今週後半のニューヨーク市場でした。

💴 為替・金利・商品(金曜8/7 NY終値・清算値ベース)

USD/JPY(ドル円)
157.76円
8/7 NY終値(前日比 −67銭)
同日のザラ場は高値158.57円・安値156.68円
EUR/JPY(ユーロ円)
182.38円
8/7 NY終値(前日比 −22銭)
4営業日ぶりの反落
米国債10年利回り
4.65%
8/7終値(前日8/6は4.69%)
週間では7/31の4.75%から0.10%ポイント低下

為替は、週の合計で見るとほとんど動いていません。ドル円は先週末の157.40円から157.76円へ36銭の円安、ユーロ円は181.43円から182.38円へ95銭の円安です。ですが、その1週間の中身は静かではありませんでした。月曜8/3の東京市場では、協調介入が公式に認められたことを受けて一時155.23円まで円高が進んでいます。そこから金曜には158.57円まで戻し、雇用統計の発表直後にまた156.68円まで円高に振れ、最後は157.76円で引けました。1週間で3円以上の幅を往復して、ほぼ元の場所に戻ってきたことになります。

米10年債利回りは、7/31の4.75%から4.65%へ0.10%ポイント下がりました(米財務省の公表値)。水準も変化幅も同じ財務省のデータでそろえています。
商品は、WTI原油(9月限)が8/7の清算値で1バレル78.18ドル(前日比+0.89ドル・+1.15%)と続伸。ホルムズ海峡の封鎖が続いていることが背景です。NY金(12月限)は8/7の清算値で1トロイオンス4,399.70ドル(+100.10ドル・+2.33%)と急伸しました。雇用統計を受けて金利が下がると、利息を生まない金には追い風になります。なお商品の週間の騰落率は、起点となる7/31の清算値を同じ限月で確認できなかったため、この記事では出していません。

🕊 熊本地震のいまと、台風13号(8/8朝時点)

7月28日に起きた令和8年熊本地震について、亡くなられた方に心よりお悔やみを申し上げます。被害に遭われたみなさまにお見舞いを申し上げます。災害関連死の疑いを含めて、亡くなった方は38人(8月7日午前7時30分時点・熊本県災害対策本部)。避難所には8月7日午後6時時点で6,630人の方がいらっしゃいます。負傷者は、総務省消防庁の第43報(8月6日17時時点)で150人(重傷22人・軽傷等128人)。それ以降の更新は、この記事の時点では確認できていません。

今週いちばん大きな動きは、金曜8/7の持ち回り閣議で、激甚災害の指定が正式に決まったことです。しかも地域を限定しない「本激」で、あわせて特定非常災害にも指定されました(首相官邸)。本激に指定されると、道路や農地などを直す事業への国の補助率が1割ほど上乗せされ、中小企業の信用保証も広がります。特定非常災害のほうは、運転免許の有効期間を延ばすといった手続き面の特例です。火曜8/4から金曜の朝まで、この場所で「まだ決まっていません」と書き続けてきた件が、ようやく決着しました

工場のほうは、動きだしたところと、止まったままのところの両方があります。トヨタの福岡3工場は8/6に稼働を再開。愛知の田原工場は8/17に再開予定で、一部のラインは定期メンテナンスのため8/31まで止まります。いっぽうホンダの熊本製作所は、8/17以降も完成車の生産を休止したままです(ホンダ公式・8/7更新)。めどが立った工程から段階的に再開するという説明で、再開日は入っていません。埼玉製作所は8/5〜19、鈴鹿製作所とホンダオートボディーは8/6〜19の休止です。アステモ宇城(熊本県宇城市)は、8/7に一部の生産ラインが復旧して稼働確認と試験運転が始まりましたが、生産再開の時期は未定のままです。ここは人的被害が出た拠点でもあります。半導体のJASM(菊陽町)は、8/4から段階的に再開して8月中旬に地震前の水準に戻すという見通しが出ていましたが、その後の続報はこの記事の時点で確認できていません

交通では、九州新幹線の新水俣〜鹿児島中央が予定どおり8/7に運転を再開しました。ただし8/16までは1日6往復の臨時ダイヤで、全列車が各駅停車、全車自由席(指定席とグリーン車はなし)、車内のトイレと洗面所も使えません。熊本〜新水俣は、8月中の再開が難しい状況が続いています。肥薩おれんじ鉄道の八代〜水俣も運転を取りやめたままで、代行バスが8/10ごろから始まる予定です。

そして台風13号(ドルフィン)です。気象庁が8時45分に発表した8月8日8時の実況では、久米島の北西およそ100kmを西北西へ時速15kmで進んでいて、大型で非常に強い勢力(中心気圧945hPa・最大風速45m/s・最大瞬間風速60m/s)。沖縄・奄美では8日にかけて暴風が続く見込みです。動きが遅いぶん、影響が長引きます。その後は9日に東シナ海へ抜け、10日ごろに中国の華中付近へ進む見通しです。被災した熊本も地盤がゆるんでいるので、雨には引き続き注意が必要です。なお、日本のはるか東で台風15号(チャンホン)も発生していて、西へ進んでいます。日本への影響はまだ分かりませんが、来週の注意点のひとつです。

📖 今週の経済用語

夏枯れ相場(なつがれそうば/Summer Doldrums)

夏枯れ相場とは、夏場に市場に参加する人が減って、相場の動きが鈍くなることをいいます(大和証券の用語解説集)。日本では8月のお盆を中心に夏休みを取る人が多く、売り買いそのものが減るのが理由です。海外の投資家も夏の長期休暇に入るため、東京市場の売買代金は、ふだんより細ることがあります。「枯れる」という言い方は、木や草が夏の暑さでぐったりする様子から来ています。

気をつけたいのは、これが法則ではなく「相場格言」だということです。毎年かならず静かになるわけではありません。実際、今年の8月の第1週にあたる今週は、月曜に日米の協調介入が公式に認められ、水曜に日経が2,342円上がり、金曜の夜にアメリカの雇用が減った——枯れるどころか、材料が途切れませんでした。来週は8/11(火)が山の日で東京市場が休みになり、そのあとお盆に入ります。参加する人が減った市場では、ふだんと同じ量の売り買いでも値段が大きく動くことがあります。「参加する人が減る」ことと「値段が動かなくなる」ことは、別のことです。

▼ なぜ夏に参加者が減るのか
  • 日本のお盆:8月13日〜16日ごろを中心に、金融機関でも夏休みを取る人が増えます。
  • 海外の夏休み:欧米の運用会社では、7月下旬から8月にかけて長期の休暇を取るのが一般的です。
  • 大きな予定が少ない:日本もアメリカも、8月は中央銀行の会合がありません(今年も日米ともお休みです)。
▼ 押さえておきたい3つの視点
  • 「静か」とは限らない:アノマリー(経験則)のひとつであって、年によってまったく違います。今年の8月第1週がまさにそうでした。
  • 売り買いが少ないと振れやすい:参加する人が少ない市場では、ひとつの大きな注文で値段が動きやすくなります。静かな時期のほうが値幅が出る、ということも起こります。
  • 家計から見ると:私は、売買が細る時期にわざわざ何かをしなければいけない理由を思いつきません。こういう言葉は「相場を当てる道具」ではなく「なぜ今日は売り買いが少ないんだろう」という疑問の答えとして知っておくくらいがちょうどいいと思っています。

▶ 「夏枯れ相場」をたとえ話と図解でもっとくわしく読む(経済用語辞典)

💬 お金バイバイマンからの一言

今週いちばん考えさせられたのは、金曜の夜のことです。アメリカの雇用が2万3,000人減って、しかも過去2カ月ぶんが10万人以上も下方修正された。働く人の側から見れば、これは間違いなく厳しい数字です。それなのに、同じ夜にS&P500は終値ベースの史上最高値をつけました。株式市場は「雇用が減ると金利が上がりにくくなる」というところだけを見て、値段をつけたわけです。世間ではこういうとき、「実体経済を無視した株高だ」という声も出ますし、「金利が下がるなら妥当だ」という声も出ます。どちらの言い分にも理屈はあると思います。

私はというと、この日の値動きを見て何かを動かすことはしませんでした。というより、金曜の夜の数字ひとつで動かしていいものを、そもそも持っていないという言い方のほうが近いかもしれません。私が見ているのは、持っている会社が配当をどうする方針でいるか、というくらいのゆっくりした話で、それは一晩では変わりません。来週は8/11(火)が山の日で東京市場が休み、そのあとお盆に入ります。人が減っていく時期に、何かをしなければいけない理由も、私には思いあたりません。いつもどおり、数字を見て終わりにしようと思っています。

📅 来週(8/10〜8/14)の注目ポイント:東京市場は4営業日、山場は8/12(水)の米CPI

まず日程の確認から。8/11(火)は山の日で、東京証券取引所の株式市場は休場です。来週の東京市場は月・水・木・金の4営業日しかありません。日銀もFOMCも8月は会合がなく、次はFOMCが9/15(火)〜16(水)、日銀が9/17(木)〜18(金)です。日米で日付が2日しか違わないので、私も毎回カレンダーで確かめています。

最大の山場は8/12(水)の夜21時30分に発表される、アメリカの7月の消費者物価指数(CPI)です。今週の雇用統計で9月の利上げ確率が55%から40%へ下がったばかりなので、物価が思ったより高ければこの40%は戻り、低ければさらに下がるという関係になります。翌8/13(木)にはアメリカの7月の生産者物価指数(PPI)、日本では国内企業物価指数(7月)が出ます。

週明け8/10(月)の朝8時50分には、日銀が7/30〜31の会合の「主な意見」を公表します。植田総裁が会見で「利上げのペースを速めることもありうる」と述べた回なので、委員それぞれがどう考えていたのかが読めます。8/14(金)はオプションSQの算出日で、この日は朝方に売買が集中しやすい日です。決算では8/12(水)にシスコシステムズと東京海上ホールディングス、8/13(木)にアプライドマテリアルズが控えています。なお金曜8/7の取引終了後には、リクルートホールディングス・KDDI・三井不動産の決算が出ました。リクルートホールディングスは4〜6月期の営業利益が2,554億円(前年同期比+66.1%)で、あわせて通期の純利益の見通しを6,230億円から7,550億円へ1,320億円引き上げました(引き上げ後の見通しで前期比+51.9%)。効くとすれば、4〜6月期の数字より上方修正のほうでしょう。KDDIは4〜6月期の純利益が1,954億円(+22.1%)。いっぽう三井不動産は同じ4〜6月期の純利益が758億円で、前年同期比39.0%の減益でした。良い決算ばかりではない、という意味でも、この3社は月曜の東京市場の材料になります

詳しい日程は月曜版の「今週のマーケット予定(WEEKLY AGENDA)」であらためて整理してお届けします。なお、これらはあくまで予定であり、特定の売買を促すものではありません。

📚 参考にした情報源

本記事は、官公庁・中央銀行の公表資料(一次情報)を軸に、市場データを複数の情報源で照合して作成しています。

  • 米労働統計局(BLS)公式データ(7月の雇用統計)・米連邦準備制度理事会(FRB)FOMC日程(一次情報)/CME FedWatch(9月会合の利上げ確率)
  • 財務省「片山財務大臣談話」「外国為替平衡操作の実施状況」「国債金利情報」・日本銀行(会合日程)(一次情報)
  • 首相官邸(激甚災害の閣議決定)・総務省消防庁と熊本県災害対策本部(被害状況)・気象庁(台風情報)(一次情報)
  • 本田技研工業とJR九州の公式発表(生産拠点の稼働状況・九州新幹線の運行)・日経平均プロフィル(日次四本値)・米財務省(米国債利回り)・セントルイス連銀FRED(週間騰落の起点値)
  • 日本経済新聞・株探・CNBC・トレーダーズウェブ(米国株、商品の清算値、為替の四本値)・大和証券の用語解説集(「夏枯れ相場」の定義)

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。株価は8月7日(金)の終値、為替と米10年債利回りは同日のニューヨーク市場の終値です。日本国債10年利回りは財務省の確定値が8月6日分までのため、その日付を明記しています。商品は清算値で、WTI原油は9月限、NY金は12月限(いずれも8月7日)です。週間騰落率は7月31日(金)の終値を起点に算出しています。S&P500の史上最高値は終値ベースの比較です。熊本地震の被害と台風の情報は本文に記した時点のもので、続報により変わります。来週の日程は変更される場合があります。

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この記事を書いた人

「お金バイバイマンの経済ニュース」運営者。

月曜から土曜の毎朝、日経平均・米国株・為替などマーケットの動きを「なぜ動いたのか」まで追いかけて、図解つきでやさしく解説しています。"今日の経済用語"コーナーでは、ニュースに出てくる言葉を1日1語ずつ深掘り中。気づけば用語辞典は70語を超えて、いまも増え続けています。

じつは昔、SNSのキラキラした投資情報に憧れて、情報商材を買ってしまったことがあります。遠回りの末にたどり着いたのが「長期・分散・積立でコツコツ」。相場が荒れた日も、合言葉は「今日も何もしません」です。

朝の意見コラム『今朝の経済、私はこう見る』は、noteで平日の毎朝、連載しています。

好きなものは、お酒・サウナ・食べ歩き。経済ニュースも、それくらい気軽な習慣にしてもらえたら嬉しいです📈

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