📈 日経平均は1,363円高の3日ぶり反発、TOPIXは終値の最高値まであと1.35ポイントでした|ところがニューヨークでは、この2営業日で円が約1円45銭下がっています
8/10月の日本株(リクルートがストップ高/KDDIは増益なのに5%安)/米国株は2日続けて3指数そろって下落/ホルムズ海峡と原油/為替・金利・商品/今夜21時30分の米7月CPI/熊本地震のその後と台風15号の訂正|今日の経済用語「季節調整」
おはようございます、お金バイバイマンです。昨日8月11日(火)は山の日で東京市場が休みでしたので、日本株のいちばん新しい数字は月曜10日の終値です。その10日の日経平均は1,363円51銭高の66,970円22銭で3日ぶりの反発。TOPIXにいたっては、終値としての史上最高値まで、あと1.35ポイントというところまで来ました。ところが、です。日本株の数字がここで止まっているあいだに、ニューヨークは10日・11日と2営業日進み、3指数はそろって2日続けて下げ、円は157円台後半から159円台へ動いています。今日は「月曜の東京の強さ」と「そのあと外で起きたこと」を順番に並べたうえで、今夜21時30分に出るアメリカの7月の物価まで見ていきます。
🇯🇵 日本株式市場(8/10月 終値・1,363円高の3日ぶり反発、TOPIXは終値の最高値まであと1.35ポイント)
3日ぶりの反発
終値の最高値(7/6の4,101.96)まで1.35pt
8/10分は市場値が割れており2.7%台後半〜2.8%台前半
※終値ベース。この12営業日は、7月28日に−3.95%、7月31日に+4.03%、8月5日に+3.66%と、上にも下にもよく振れました。期間の高値は最終日の8月10日、最安値は熊本地震の翌日にあたる7月29日の61,434.19円です。
8月10日の日経平均は66,970円22銭、1,363円51銭高(+2.08%)。四本値は始値65,905円10銭、高値67,006円84銭、安値65,848円58銭、終値66,970円22銭です。安値が始値を下回っている一方で、高値は67,000円台に乗せています。朝から強かったというより、日中に一段階ぶん買われた形です。
同じ日のTOPIXは4,100.61(+25.68ポイント、+0.63%)で5営業日続伸。ここは書き方を丁寧にします。TOPIXは最高値を更新していません。終値としての最高値は7月6日(月)の4,101.96で、8月10日はそこに1.35ポイント届きませんでした。パーセントにすると0.03%です。「あと1.35ポイント」の記事と「最高値更新」の記事は、まったく別のことを言っています。なお、10日は取引時間中に一時4,111.35まで上げ、終値ベースの最高値(7月6日の4,101.96)を上回る場面もありました。ただし取引時間中の高値としての最高値(7月7日〔火〕の4,137.62)には届いていません。「終値では届かなかったが、取引時間中には一時的に上を見た」——それがこの日の正確な言い方になります。
中身も見ておきます。東証プライムは値上がり916銘柄・値下がり603銘柄・変わらず37銘柄。売買代金は概算で9兆1,904億円、売買高は25億4,848万株でした。上がった銘柄が下がった銘柄の1.5倍あるので、一部の銘柄だけで指数が持ち上がった日ではありません。とはいえ、上げ幅の大半を担ったのは一部の大型株です。中身を分けてみます。
寄与度(=その銘柄が指数を何円ぶん押し上げ/押し下げたか)で見ると、この日の押し上げ上位5銘柄はアドバンテスト、リクルートホールディングス、東京エレクトロン、フジクラ、テルモで、この5社で合わせておよそ+1,161円。押し下げ上位5銘柄はKDDI、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリング、セコム、三井金属で、合わせておよそ−211円でした(松井証券の大引けまとめ)。なお、銘柄ごとの内訳(どの1社が何円ぶんか)は今朝の時点で確認できていないため、この記事では合計だけを載せます。
ここで引き算をしてみます。上位5社の押し上げ+1,161円から、上位5社の押し下げぶんの211円を差し引くと、およそ+950円。この日の日経平均の上げ幅は+1,363円51銭ですから、残りの銘柄も差し引きで400円ぶんほど、指数を押し上げるほうに働いていたという概算になります。一部の大型株が引っぱりつつ、それだけでは説明がつかない日だったということです。値上がり916銘柄という数字とも、方向は合っています。
📌 リクルートはストップ高、KDDIは増益なのに5%安:金曜の「答え合わせ」
月曜の記事で、8月7日(金)の取引終了後に出た決算3社を取り上げて、「3社とも金曜の取引時間中にはすでに買われて終わっている。これは決算が出る前の値動きなので、中身を織り込んだ結果とは限らない」と書きました。その答え合わせが、10日でした。同じように買われて金曜を終えた2社が、月曜には正反対に動いています。
リクルートホールディングス(6098)=16,165円・+3,000円(+22.79%)でストップ高。東証プライムの上昇率1位です。寄り付きからストップ高で始まり、途中は15,790円まで押す場面もありましたが、終値もストップ高の16,165円。始値・高値・終値がそろって上限という1日でした。材料は、金曜に出した2027年3月期の業績見通しの引き上げです。営業利益を7,870億円から9,450億円へ(+20.1%の上方修正)、純利益を6,230億円から7,550億円へ(+21.2%の上方修正)。新しい見通しを前期の実績と比べると、営業利益が+49.9%、純利益が+51.9%という形になります。4〜6月期の営業利益2,554億円(+66.1%)そのものより、この上方修正のほうが効いた、というのが素直な見方だと思います。
KDDI(9433)=2,830円・−151円(−5.07%)。この日の日経平均の押し下げ寄与の筆頭です。4〜6月期の純利益は22.1%増えています。それでも5%下げました。月曜の記事に書いたとおり、KDDIは今期の見通しを据え置いた会社です。「増益かどうか」ではなく「事前に思われていた線より上か下か」で値段がつく——それがきれいに出た1日でした。
日本経済新聞は、この日の東京市場の背景として「決算の上方修正が相次いだこと」を挙げていました。中東情勢が緊迫した時期に決算期が始まったので、多くの会社が期初の見通しを保守的に置いた。それが4〜6月期の実績を経て次々と上へ直され、その積み上がりがTOPIXを最高値の目前まで押し上げた、という説明です。リクルートはその象徴的な一社、という位置づけになります。ここは私も納得しやすい説明でした。指数を動かしたのが「期待」ではなく「会社が自分で出し直した数字」だとすれば、根拠としては手触りがあります。
🏦 日銀の「主な意見」はタカ派でした。ただし月曜の株高の理由ではありません
8月10日の朝、日銀が7月30・31日の金融政策決定会合の「主な意見」を公表しました。中身は、月曜の記事で「読み取れるはず」と書いたとおり、追加利上げに前のめりな意見が並んでいます。「(利上げを)ペースアップする必要がある」「利上げペースが市場の想定よりも早まることも考えられる」といった発言が載り、物価上昇の圧力は「夏場以降に顕在化する」との見方も示されました。この回の政策金利は1%程度で据え置き、高田創審議委員が利上げを主張して反対しています。
ここで因果を取り違えないように、はっきり書いておきます。同じ日に株が2%上がったのは、この「主な意見」のせいではありません。市況の説明でいちばん多く挙がっていたのは、金曜8月7日のアメリカの雇用統計を受けて、アメリカの利上げ観測が後退したことです。金曜の夜にS&P500が終値としての最高値をつけ、その流れを月曜の東京が受け取った、という順番になります。日銀がタカ派なら、ふつうは株にとって追い風ではありません。同じ日に起きた2つの出来事を、線でつながっているように書くと、記事はきれいになりますが中身は嘘になります。外から来た追い風(アメリカの利上げ観測の後退)に、国内の決算の上方修正という裏づけが重なった——この順番なら、私も納得できます。逆に、日銀の「主な意見」をここに足す必要はありません。
🇺🇸 米国株式市場(8/10月・8/11火 終値・2日続けて3指数そろって下落)
2日続落
終値の最高値(8/7)の29.44pt下
2日間の下落率が3指数で最大(−0.92%)
日本株が8月10日で止まっているあいだに、ニューヨークが進んだ2日ぶんを並べて置いておきます。
| 指数 | 8/7(金) | 8/10(月) | 8/11(火) |
|---|---|---|---|
| NYダウ | 54,036.93 | 53,975.98 −60.95(−0.11%) | 53,791.85 −184.13(−0.34%) |
| S&P500 | 7,757.64 | 7,753.11 −4.53(−0.06%) | 7,728.20 −24.91(−0.32%) |
| ナスダック総合 | 26,690.62 | 26,605.36 −85.26(−0.32%) | 26,445.45 −159.91(−0.60%) |
※8月7日の値は比較のための参考です。この3指数のうち、終値としての史上最高値の話ができるのはS&P500だけで、その最高値が8月7日の7,757.64。ダウとナスダック総合の最高値については、今朝の時点で独立して裏を取れていないため、この記事では触れません。
まず8月10日。3指数はそろって下げましたが、下げ幅はごくわずかで、S&P500にいたっては4.53ポイント安(−0.06%)です。理由として複数のソースが挙げていたのは3つで、①原油の急騰(WTIが5%高)②アメリカの長期金利の上昇 ③エヌビディア・アップル・インテルの下落。原油が跳ねた背景には、トランプ大統領がイランの賠償要求を非難したことがあり、中東の和平への期待が後退しました。イランの外相も「現在の条件のもとでは交渉を再開する可能性はない」と述べています。面白かったのは中身のほうで、エネルギー株が4.6%上がる一方、ハイテクが下げています。お金が業種のあいだを移った、いわゆる循環物色の形です。この日の下げ幅は、ナスダック総合が−0.32%、ダウが−0.11%、S&P500が−0.06%。ハイテクの比重が高いナスダック総合の下げが、3指数でいちばん大きかったところに、その入れ替わりが出ています。
次に8月11日。下げの理由が変わりました。イランの最高安全保障委員会のレザイ事務局長(8月10日就任)が「米国が行動を改め、条件を受け入れない限り、ホルムズ海峡の封鎖は解除されない」と述べたことが伝わり、原油は4営業日続伸(WTIは一時84ドル台)。加えて、12日に発表される7月の消費者物価指数を控えて買いが入りにくく、持ち高を整える売りが出たとも伝えられています(日本経済新聞)。アマゾンが2.1%安、アルファベットが3.8%安と大型のハイテク株が売られ、ナスダック総合の下げ(−0.60%)がいちばん大きくなりました。10日は「賠償要求で和平への期待が後退した日」、11日は「封鎖の解除そのものを否定され、そのうえで物価の発表を待った日」。同じ中東でも、下げの理由は入れ替わっています。
🚢 ホルムズ海峡と原油:2営業日で6%を超えて上がりました
ホルムズ海峡は、今も封鎖が続いています。数百隻の船が足止めされたままで、イランとオマーンがまとめた再開の合意案は、イランの最高指導者による最終承認を待つ段階にありました。ところが、上に書いた10日から11日にかけての米国とイランの応酬で、その承認への期待が後退。原油はそこに反応しました。
8/10は82.13ドル(+3.95ドル・+5.0%)
8/10は4,419.70ドル
8月7日の78.18ドルから11日の83.20ドルまで、2営業日で5ドルあまり、率にして6%を超える上昇です。ここが今日の記事のつなぎ目にあたります。中東で交渉が行き詰まる → 原油が上がる → アメリカの物価が上がりやすいと見られて長期金利が上がる → 日米の金利差が意識されて円が売られる。この2日間の値動きは、おおむねこの順番で説明されています。ただし、これは「そう説明されている」という話であって、私はどれか一つが原因だと言い切るつもりはありません。原油高は、輸入に頼る日本にとって支払いが増える方向に働く、という面もあります。
💴 為替・金利(8月12日 朝 JST時点・円は2日で約1円45銭下落)
▲ +0.77円(ドル高・円安/+0.48%)
▲ +0.54円(ユーロ高・円安/+0.29%)
▼ −0.0132%pt
ドル円のニューヨーク市場の終値(午後5時現在)は、8月7日(金)が157円80〜90銭 → 8月10日(月)が159円26〜36銭 → 8月11日(火)が159円25〜35銭。この2営業日で、およそ1円45銭の円安です。ただし、内訳があります。円安がついたのは10日ぶんで、この日だけで1円46銭。11日は1銭ぶんの円高で、ほとんど動いていません(だから2日の合計が1円45銭にとどまります)。
私は正直、逆を予想していました。東京が休んでいる日ほど、こちらが見ていないあいだに大きく動くのだろう、と思っていたからです。実際には、東証が閉まっていた11日のほうが静かで、動いたのは日本の市場も開いていた10日のほうでした。休みだから荒れる、というのは私の思い込みだったようです。ただ、これはこの2日がそうだったという話で、いつもこうなるとはかぎりません。
では、この2営業日で1円45銭という動きが、なぜ大きいのか。7月31日の日米協調介入のときに、ドル円は164円台から動き始め、8月3日の東京市場では一時155円23銭まで円高が進みました。ざっと9円ぶんの円高です。いまの159円台は、その9円のうち、ほぼ半分を戻した水準にあたります。介入から2週間足らずでの動きです。なお、当局の新しい発言や動きは、今朝の時点では確認できていません。
日本の長期金利について、今日は数字の出し方を丁寧にします。財務省が公表する確定値は、8月7日分の2.804%までしか出ていません(8月10日分は、本日12日の午前9時30分ごろの公表です)。そして8月10日の市場での水準は、ソースによって割れています——日本経済新聞(8月10日17時56分)が2.815%、日本相互証券の15時引けが2.786%。どちらか一方を「その日の金利」として断定できるだけの材料がないので、この記事では「2.7%台後半から2.8%台前半」という幅で書きます。3ベーシスポイントの差で結論が変わる話ではありませんが、数字を1つに決めて書けば、読んだ方はそれを確定値だと受け取ります。そこは分けておきたいところです。
🗓️ 今日の焦点:今夜21時30分の米7月CPI
月曜の記事で「今週の山場は水曜のアメリカの物価です」と書きました。その水曜が今日です。日本時間の今夜21時30分(アメリカ東部時間の午前8時30分)に、7月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想はこうなっています。
| 項目 | 7月の市場予想 | 6月の実績 |
|---|---|---|
| 総合(前年比) | +3.4%前後 ダウ・ジョーンズ調査+3.4%/TDセキュリティーズ+3.4% | +3.5% |
| コア(前年比) | +2.4〜2.5% ダウ・ジョーンズ調査+2.5%/TDセキュリティーズ+2.4% | +2.6% |
| 総合(前月比) | +0.1〜+0.15% | −0.4% |
| コア(前月比) | +0.2% | 0.0% |
※予想は集計する会社によって差があるため、単一の値ではなく調査名つきの幅で載せています。前月比は季節調整済みの数字です(今日の経済用語を参照)。
見るべきは、1カ月ぶんの数字より3カ月の並びだと思います。総合の前年比は4月が+3.8%、5月が+4.2%、6月が+3.5%。5月が山で、6月はそこから0.7ポイント鈍りました。今夜が予想どおりの+3.4%前後なら、2カ月続けての鈍化ということになります。逆に言えば、予想を上回った瞬間に「5月の山はまだ終わっていない」という読み方が復活する、ということでもあります。
ここは何度でも書きます。いまのアメリカは「利上げ」を織り込んでいる局面です。政策金利(FF金利)の誘導目標は3.50〜3.75%で、7月28・29日の会合で5会合連続の据え置き。しかもこの回は、地区連銀総裁3名が「すぐに利上げすべきだ」として反対票を投じています。議長はケビン・ウォーシュ氏です。「アメリカの利下げがいつか」という枠組みで今夜の数字を見ると、逆さまに読むことになります。
では市場は、次の一手をどう見ているか。9月15・16日のFOMCで利上げがある確率は、LSEGの集計(ロイター経由)で4割強です。8月7日に出た7月の雇用統計が非農業部門で2万3,000人の減少(予想は8万人台の増加。ダウ・ジョーンズ集計で8万3,000人増、ロイター・ブルームバーグ集計で8万人増)と大きく下振れしたことで、統計前の5割台後半から下がりました。この4割強は「9月の会合1回ぶん」の確率で、年内どこかで、という累積の数字ではありません。
そして、ここが月曜の東京市場につながります。金曜の雇用統計で利上げ観測が後退 → 同じ夜にS&P500が終値としての最高値 → 週明け10日の東京が+2.08%。つまり10日の1,363円高は、東京だけで生まれた上げではありません。金曜の夜にアメリカで起きたことを、月曜の東京が受け取った面がかなりある——というのが私の見方です。今夜の物価が予想より高ければ、その受け取ったぶんのほうが、先に返される可能性があります。
今週の残りも置いておきます。明日8月13日(木)は、朝に日本の7月の国内企業物価指数(日銀)、夜21時30分にアメリカの7月のPPI(生産者物価指数)と新規失業保険申請件数。消費者物価の「川上」にあたる数字なので、今夜とセットで見ると流れがつかみやすいと思います。8月14日(金)は、日本がオプションSQ(マイナーSQ)の算出日——8月は3の倍数月ではないので、先物も一緒に清算されるメジャーSQではありません。夜はアメリカの7月の小売売上高、6月の企業在庫、8月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報)です。
季節調整(きせつちょうせい/Seasonal Adjustment)
季節調整とは、毎年きまって同じ時期に起きる動きを、統計からあらかじめ取り除く処理のことです。夏にエアコンが売れる、年末年始に旅行が増える、4月に新学期の買い物が出る、夏と冬にボーナスが出る——こうした動きは、景気が良くても悪くても毎年やってきます。それを残したまま「先月と比べて増えた」と言っても、増えたのが季節のせいなのか、それ以外の理由なのかが分かりません。そこで、過去の何年ぶんかのくせを計算して差し引き、「季節のぶんを除いても、先月より増えたのか」を見えるようにします。今夜のアメリカのCPIで出てくる前月比は、この処理をしたあとの数字です。
かき氷屋さんの売上が、6月から7月にかけて倍になったとします。ここで「この店は絶好調だ」と言えるでしょうか。言えません。かき氷屋は毎年7月に倍になるからです。季節調整は、この「毎年7月は倍」という部分を先に差し引く作業です。差し引いたあとで、それでも増えていたら本当に調子がいい。逆に、倍にはなったけれど例年なら2.5倍のところが2倍で止まっていたなら、季節調整済みの数字は「減った」と出ます。「増えているのに減ったと発表される」のは、この理屈です。
- 前年同月比には、原則いりません:1年前の同じ月と比べるなら、夏は夏どうし、年末は年末どうしを比べることになるので、季節のくせは自然に打ち消し合います。季節調整が要るのは前月比のほうです。今夜のCPIで「前年比+3.4%前後」と「前月比+0.1〜0.15%」が並ぶのは、そもそも性質の違う数字だからです。
- 調整の仕方は毎年見直されます:季節のくせは過去のデータから推計するので、新しい月が積み上がると推計も更新され、過去に発表済みの前月比が、あとから書き換わることがあります。数字が動いたときに「改ざん」ではなく「洗い替え」だと分かっていると、慌てずにすみます。
- 私はここを見るようにしています:発表直後に流れるのは、たいてい前年比のほうです。ただ、方向が変わったかどうかが早く出るのは季節調整済みの前月比のほうだと私は思っています。ひと月の前月比だけで判断はしませんが、3カ月ぶんを並べると、山を越えたのかどうかが見えやすくなります。
🕊 令和8年熊本地震のその後(8/11 16時現在)と、ホンダ熊本製作所の記述を訂正します
7月28日に起きた令和8年熊本地震について、亡くなられた方に心よりお悔やみを申し上げます。被害に遭われたみなさまにお見舞いを申し上げます。
総務省消防庁の第49報(8月11日(火)16時00分現在)によると、亡くなった方は39人で前回から変わらず、行方不明の方は0人。けがをされた方は、調査が進んで判明分が積み上がり、私が8月10日に書いた173人から357人(重傷27人・軽傷等330人)に増えています。内訳と増え方は、このあと補足します。住宅の被害は合計10,789棟(全壊1,133棟・半壊1,045棟・一部破損8,611棟)となり、(消防庁の集計としては)1万棟を超えました。避難指示は熊本県の3市町村に出ていて、対象は103,922世帯・219,027人です。
さきほどの「積み上がった」を、もう少し補います。けがをされた方は、私が8月10日の記事で書いた173人(第47報)から357人へ、およそ2倍になっています。ここは誤解されやすいところなのですが、新しい災害が起きたわけではありません。被害の調査が進んで、これまで数に入っていなかった方が積み上がった、という増え方です。住宅の被害が9,374棟から10,789棟へ増えたのも同じ理由で、増えているのは主に一部破損です。災害の統計は、時間が経つほど数字が大きくなります。それは事態が悪化しているからではなく、見えていなかったものが見えてきているからです。
続いて、私が繰り返し書いてきたホンダ熊本製作所の記述を訂正します。私は8月10日の記事で「会社は8月17日以降、復旧のめどが立った工程から段階的に動かすとしています」と書きました。この書き方だと「17日から動き出す」と読めますが、正しくは「17日以降も完成車の生産は休止」です。ホンダの公式発表(8月7日更新)は、「8月17日(月)以降も完成車の生産を引き続き休止し、復旧に向けてめどが立った工程から段階的に稼働を再開していく予定」としています。動き出しているのは工程の一部で、こちらは8月5日から稼働を再開しています。「再開する予定」と「休止が続く」では、受け取り方が正反対になります。お詫びして訂正します。
ほかの拠点も置いておきます。ホンダの埼玉製作所は8月5日から19日まで、鈴鹿製作所とホンダオートボディーは8月6日から19日までの停止で、その後の続報は確認できていません。アステモの宇城工場は、人的被害が出た拠点でもありますが、設備の損傷が大きく、余震で立ち入りも難しい状態とされていて、再開の時期は未定です。なお、ホンダの公式発表の最新の更新は8月7日で、8月12日の朝までにそれ以降の更新は確認できていません(これからお盆の期間に入ります)。
交通では、九州新幹線の新水俣〜鹿児島中央が8月7日の始発から運転を再開しています(8月16日までは臨時ダイヤで本数を減らし、全車自由席〔グリーン席を除く〕)。残る熊本〜新水俣は、JR九州が「8月中の運転再開は困難」としています。つまり再開そのものは8月中は難しく、時期の見通しだけを8月中にあらためて示す、ということです。
🌀 台風15号は関東に上陸しました:8月10日の記事の記述を訂正します
最初に訂正します。私は8月10日の記事で、当時の予報にもとづいて、台風15号(チャンホン)は「11日の夜に東北へ進む」と書きました。気象庁によると、実際には11日(火・山の日)の20時ごろ、茨城県南部に上陸し、本州を西南西へ横断しています(同日21時に土浦市付近、22時に柏市付近。中心気圧985ヘクトパスカル、最大風速25メートル)。私が外していたのは進路です。時間帯としては夜で合っていて、東北ではなく関東への上陸でした。予報のほうが変わったのですが、そのまま古い記述が残っていたのは私の記事です。読んだ方が住んでいる場所によっては、受け取り方が変わってしまう間違いでした。なお、気象庁によると茨城県への台風の上陸は、1951年の統計開始以来はじめてのことだそうです。
いまの位置。気象庁が8月12日6時45分に発表した情報(実況は6時の時点)によると、台風15号は福井県の敦賀市の東北東およそ40キロにあって、西へ時速35キロで進んでいます。中心気圧996ヘクトパスカル、最大風速18メートル。この時点では、まだ台風です。
この先。予報では12日15時に熱帯低気圧に変わる見込み(998ヘクトパスカル)で、18時ごろには松江市の北北東およそ70キロ、13日6時には山陰沖へ抜ける見通しです。被害について、私が今朝の時点で確認できた公式の集計はありません。人的被害・交通・生産への影響の数字は、まとまったものが出てから書きます。なお台風16号(ペイロー)は、気象庁の8月12日7時05分の発表でウェーク島の近海にあり、北へ時速35キロ(998ヘクトパスカル、最大風速18メートル)。日本からは遠く、当面の直接の影響はない見込みです。台風の進路は変わりますので、最新の情報は気象庁の発表でご確認ください。
今日はまず、上に書いた台風の話です。私は10日の記事で、台風15号を「11日の夜に東北へ」と書きました。実際には、11日の夜に関東へ上陸して本州を横断しています。時間帯は合っていて、私が外したのは進路のほうです。予報をそのまま写しただけだと言えばそうなのですが、読んだ方の中に「うちのほうは関係なさそうだ」と受け取った方がいたかもしれない、と思うと、黙って次の記事に進むわけにはいきません。数字や予報を毎朝あつかっている以上、外したときにいちばんやってはいけないのは、何も書かずに通り過ぎることだと私は思っています。
相場のほうで引っかかったのは、TOPIXの1.35ポイントです。新聞やニュースの見出しは、おそらく「最高値ならず」でしょうし、それは事実として正しい。ただ、1.35ポイントの手前と向こうで、上場している会社の中身が何か変わるわけではありません。むしろ私が面白いと思ったのはKDDIのほうで、純利益が22%増えているのに5%下げました。市場が見ているのは「良いか悪いか」ではなく「思っていたより良いか悪いか」なんだな、と。同じ日にリクルートが上方修正でストップ高だったので、なおさら分かりやすく出ていました。世間では「決算が良ければ株は上がる」と言われますし、その受け取り方は自然だと思います。でも実際に並んでいたのは、そうではない光景でした。
今夜のアメリカの物価は、私も見ます。月曜に書いたときと少し言い方を変えると、見るのは「答え合わせ」のためではなく、市場がいま何に反応する体になっているかを確かめるためです。数字が出たあとの値動きは、たいてい数字そのものよりも、事前にどこまで織り込まれていたかで決まります。だから、数字の高い低いだけを覚えて帰っても、あまり役に立たない。そして、今夜の数字で私の持ち方が動くことは、たぶんありません。動かないと決めているのではなく、動かす理由が私の側にないだけです。もちろん、これは私のやり方であって、今夜の数字を見て動く方がいてもおかしくないと思っています。
📊 8月10日・11日の総括と、今夜に向けて
本記事は、官公庁・中央銀行・企業の公表資料(一次情報)を軸に、市場データを複数の情報源で照合して作成しています。個別の報道にもとづく数値は、本文中にその都度、媒体名を明記しています。
- 日本銀行「主な意見」(7月30・31日会合分)・財務省「国債金利情報」(一次情報)
- 米労働統計局(BLS)— CPIの公表予定と過去の実績/米連邦準備制度理事会(FRB)— 政策金利とFOMCの日程(一次情報)
- リクルートホールディングス・KDDI・本田技研工業の公式発表(決算と生産拠点の稼働状況)(一次情報)
- 総務省消防庁(令和8年熊本地震 第49報)・気象庁(台風情報)・九州旅客鉄道(JR九州)(一次情報)
- 日本経済新聞・松井証券(大引けまとめの寄与度と売買代金)・ロイター(LSEG集計の利上げ確率)・CMEグループ(NYMEX/COMEXの清算値)
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。為替と米10年債利回りは8月12日朝(日本時間)の値で、変動します。日本国債10年利回りは財務省の確定値が8月7日分(2.804%)までのため、8月10日分は幅で記載しています。商品はWTI原油9月限・NY金12月限の清算値です。米7月CPIの数値は発表前の市場予想です。熊本地震と台風の情報は本文に記した時点のもので、続報により変わります。発表日程は変更される場合があります。


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