基調インフレ(きちょうインフレ)Underlying Inflation
一時的な要因を取りのぞいたあとに残る、物価の「地の流れ」のこと
💡 3行でいうと
- 天候・原油・一時的な値下げといったその月かぎりの要因を取りのぞいたあとに残る、物価の向きのことです。「基調的なインフレ」とも呼ばれます。
- ひとつの決まった指標を指す言葉ではありません。コアCPI、コアPCE、刈り込み平均など、複数の見方をまとめた呼び名です。
- 中央銀行が金利を動かすかどうかを決めるとき、見ているのは今月の数字ではなく、この地の流れです。だから「1カ月良かった」では動きません。
🧊 たとえ話
海の上に、氷が浮かんでいるとします。水面から出ている部分は、波が来るたびに上下します。でも、氷そのものがどちらへ流れているかは、波の上下では分かりません。波が毎月の物価、氷の流れが基調インフレです。
ある月、野菜が安かった。ある月、原油が下がった。そのたびに物価の数字は下を向きます。けれどそれは波であって、氷の向きが変わったとはかぎりません。中央銀行が「1カ月の数字では動かない」と言うのは、意地悪をしているのではなく、波と流れを分けて見ようとしているからです。逆に言えば、流れが変わったと確信できるまでは、金利を下げにくいということでもあります。
📊 ちいさな図解
※青い線が毎月発表される物価、赤い線がならしたあとの向きです。青が大きく下がった月でも、赤の傾きはほとんど変わっていないことがあります。
⚠️ よくある勘違い
「コアCPIのこと」ではありません
コアCPIは基調インフレを見るための手段のひとつです。ほかにコアPCE、上下の外れ値を切り落とす刈り込み平均、家賃を除いた指数など、いくつもの見方があります。中央銀行はこれらを並べて判断しますので、「基調インフレ=この数字」と1対1で決まってはいません。ニュースで「基調的な物価」と出てきたら、どの指標の話かを確かめると読み違えが減ります。
「1カ月下がった=地の流れが変わった」ではありません
単月の数字は、天候・原油・セールなどで簡単に動きます。だから数カ月ならして向きを見ます。「予想を下回った」というニュースが出た日に金利が動かないことがあるのは、市場が波ではなく流れのほうを見ているからです。
生活実感とはズレます
基調インフレは、生鮮食品やエネルギーのように振れの大きいものを外して計算することが多い言葉です。ところが家計がいちばん痛いと感じるのは、まさにその外した部分だったりします。政策の判断に使う数字と、暮らしの体感が食い違うのは、この設計上の理由からです。どちらが正しいという話ではなく、用途が違うと考えるのがよさそうです。
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